こかじさら WAVE出版 2022.11.19
読書日:2023.6.2
千葉に帰って90歳代の老父母と老叔父叔母の面倒を見ることになったライターの日々の嘆きを書いた本。
90代でも、みなさん、かなり元気なんですね。もちろん人間としては劣化が著しいのですが、とりあえず90歳までなんとか自活できていたというのは、なかなかよくやっていたのではないかという気がします。
著者の言うには、崩壊していく過程では、本人がこれまで歩んできた人生が如実に表れるんだそうです。
著者の老母は、自分の人生を自分で仕切ってきた人なんですね。なので、何もできなくなっても、自分で仕切ろうとする。そして、私がいないと何もできないんだから、みたいなことを平気で言うのだそうです。
一方、老叔母の方は、自分で面倒なことを何もしてこなかった人なんだそうで、なにをするにも、「分からない」を連発して、全て他人に丸投げする人なんだそうです。
こういう人と付き合うと、ひとつひとつの出来事は小さくても、それが積み重なると大きなダメージになるというのは理解できます。なんとかいろんな方々の協力を得て、切り抜けるしかないのでしょう。
わしも妻の母親(義母)に痴呆が始まっていて、他人事ではないのですが、たぶん今後たいへんなことになるだろうなあ、と思います。妻の兄弟たちの協力は得られそうにはありませんし。
自分もいつかはそうなるのでしょうが、痴呆を介護する方は大変でしょうが、痴呆になった方は理解力が劣化するので、たぶんけっこうお気楽なんじゃないかって気がしますが、どうなんでしょうかね?(苦笑) もしそうなら痴呆になる分には気にしなくてもいいか。
それにしても地方の男性の、運転免許証に対する異常な執念にはびっくりですね。90歳で平気で運転しようとしますし、しかも軽自動車ではなくて、重い車を運転し続けようとします。運転免許を返上するのは、人間をやめるくらいの感覚のようです。
わしは昔から車を運転するのが怖くて、人を加えると1トンくらいするようなあんな物質を何10キロもの高速で移動させることが怖くて仕方がないので、きっぱり運転はやめました。なにしろ車の運動量とか運動エネルギーは凄まじいものがありますからね。早く自動運転の時代にならないかと心待ちにしているのですが、自動運転は思ったよりもハードルが高そうです。はやく技術が進まないかなあ。
それとはやく老化と痴呆に関する医学が進んでくれないかしら。このペースではわしの痴呆にはどうにも間に合わなそうですねえ。
★★★☆☆