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押井守のサブぃカルチャー70年

押井守 東京ニュース通信社 2022.4.20
読書日:2022.10.25

押井守が映画以外の70年間のサブカルチャーエンタメ遍歴を語る本。

押井守に映画を語らせるとむちゃくちゃ面白いのは分かっているが、それ以外のサブカルチャーにも耽溺しているから、こっちもむちゃくちゃ面白い。

しかし、さすがにラジオドラマのことはへーとしか言いようがない。赤胴鈴之助が好きで、どんなに外で遊んでいても、家に帰って聞いていたんだそうだ。もうそれしかエンターテイメントがなかったから。赤胴鈴之助は、元祖メディアミックス作品でマンガ、映画も作られている。そして元祖「友情・努力・勝利」の物語でもあるそうだ。

押井守の父親はテレビ放送が始まるとさっそくテレビを買った人だそうで(私立探偵だったんだって)、おかげでほぼすべての重要なテレビ番組を観ている。この辺は聞き手の渡辺麻紀さんが地方出身で昔は放送局が限られていたから、うらやましがっているところだ。わしも地方出身で、少ないチャンネルの中でみていたクチだからこの羨望は理解できる。

押井守川内康範の作品を作っていた宣弘社のことも熱く語っている。「月光仮面」で有名な会社だ。どうも「愛の戦士レインボーマン」と「シルバー仮面」がお気に入りらしい。

レインボーマンは、わしは2000年代にケーブルテレビで子供と一緒に観ていたな。あまりにぶっとんだ設定で驚愕した。敵の組織、死ね死ね団が最高だった。ぜったいにいまでは放送不可の番組だな。いまではケーブルテレビでも無理かも。なんか死ね死ね団の幹部のお姉さんたちが色っぽいの。この点に押井守が触れていないのは解せない。シルバー仮面についてはよく知らない。兄妹が放浪する話で次男がシルバー仮面になるんだって。まあ、ともかく、宣弘社の番組はイデオロギッシュなんだと。確かに死ね死ね団も日本軍にひどい目にあわされた人たちが日本に復讐する設定だものね。

川内康範手塚治虫もヒーロー像は戦後の平和主義の価値観を引きずっていたけど、それを打ち破ったのが石ノ森章太郎で、アンチヒーローの物語を確立した。なんといっても押井守が好きだったのは、サイボーグ009なんだそうだ。009はいまでもキャラクターを描けるほど模写しまくったそうだ。サイボーグ009は自分が監督をする話もあったそうで、準備していたが、残念ながら没になったらしい。

外国ドラマも好きで、戦争者のコンバットとかはもちろん観たけど、ちょうどSFにはまっていた頃だったので、ミステリーゾーンのむちゃくちゃファンだったそうだ。まあ、これはわかる。もっともわしはミステリーゾーンは映画版しか観たことないけど。

これを日本でやろうとした円谷プロウルトラQも評価していて、途中で怪獣ものになって、結局ウルトラマンになったことを怒っている。でもウルトラマンシリーズを嫌いかと言うとそんなことはなくて、特にウルトラマン桜井浩子ウルトラセブンひし美ゆり子については熱く語っている。

わしはまったく知らないが、熱く語ってるのがイギリスドラマの「プリズナーNo.6」という作品で、不条理ドラマなんだそうだ。毎回毎回脱出しようとして失敗するという作品だそうで、でもものすごく面白かったらしい。これでイギリスドラマの虜になり、戦争ドラマはアメリカ、SFはイギリスなんだそうだ。

そういう意味で謎の円盤UFOの評価も高くて、どこが高かったかというと秘密組織シャドーの女性隊員の制服(苦笑)。ちょうど大学の頃で、友達の部屋で一緒に見ていたそうで、オープニングで一瞬出てくるメッシュの服を着ている女性隊員が下着をつけているかどうか、毎回激論だったらしい。うーん、確かにユーチューブでオープニングをみると、一瞬しか映らないね。司令官はゲイっぽいし、兵器はみなエロチックだそうです。

この本のカバーイラストは梅津泰臣さんが描いているんだけど、押井守の要望でものすごくエッチに描いたらボツになって、カバーの裏面に回されたらしい。わしは図書館で借りたので、カバーはラッピングされて見れないので、本当に残念。

★★★★☆

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