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習近平最後の戦い ゼロコロナ、錯綜する経済ーー失策続きの権力者

福島香織 徳間書店 2022.6.30
読書日:2022.10.23

習近平はなんら功績のない凡庸なリーダーで、その政策は失策ばかりであり、第22回党大会で3期目のトップの党書記になれないかもしれない、と主張する本。

これを読み始めたのは、ちょうど中国共産党の党大会が始まった頃で、書いているいまは結果がどうなったのか知っている。習近平が3期目の党トップになり、しかもトップのチャイナ7を自分の子飼いの部下でそろえて、盤石な体制を築いたわけで、福島香織の願いは外れたどころか最悪の結果になったわけだ。

福島香織によれば習近平プロパガンダ自家中毒にかかっているのだそうだ。

なので、プロパガンダと異なることを言う人はすべて処分する。単なる揶揄も許さない。そうすると誰もプロパガンダ通りのことしか言わないから、誰が自分に忠誠を誓っているのか言葉だけではわからなくなる。

そこでどうするかというと、常識に反する、一見非合理な決定をしても、それをきちんと実行するかどうか、その行動で判断するのだという。自分の決定に官僚、軍、人民が粛々と従う様子を見ることでようやく安心できるのだ。

そうならば、習近平はつぎつぎとへんてこりんな時代錯誤的な政策を行い、国民に強要する可能性がある。

こうして習近平は中国を混乱の極みに持ち込み、中国共産党を破壊するかもしれない。皮肉にも、その結果として、中国に民主化をもたらすかもしれない、などという逆説すら囁かれているという。

というわけで、福島香織習近平が3期目の5年間を全うできない可能性を示唆しているのだ。

巷には、中国が崩壊するという陰謀論めいた話がたくさん落ちている。にわかには信じがたいが、毛沢東大躍進政策文革で中国を大混乱に陥れたのはつい半世紀ほど前のことである。習近平が十分愚かなら、ありえない話ではないと思うのは、福島香織だけではないだろう。

ちょうど、いま、ゼロコロナに抗議するデモが中国全土で起こっているところなのだが…。

★★★☆☆

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