吉川浩満 河出書房新社 2018年7月19日
読書日:2018年10月06日
吉川氏は最近の日本の知の最前線に立っているひとりらしい。つまり、20世紀後半の急速に発展した認知系の知識を哲学に取り入れようとしているという。橘玲と近い立場である。
この本はあちこちで書いた雑多な文章やインタビューを集めたものだが、氏の関心の範囲が分かるようになっている。橘玲の本にも言えることだが、この本の最も有効な使い道はここで挙げられている本や映画のリストにある。氏が大事と思っている文献を、どうして大事と思うのかを理由をあげ、マッピングしてくれているので、こういうのは非常に助かるのである。
本の題名は、マルクスの言葉からきている。猿の社会が理解できるのは、人間の社会が猿の社会よりも高度な場合だけ、という意味である。なので、AIが発達し、人間を越えた場合は、人間にはそのことが理解できないはずである。気が付かない方が幸せかもしれない、たぶん。
★★★★☆