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これで駄目なら 若い人たちへ――卒業式講演集

カート・ヴォネガット 訳・円城塔 飛鳥新社 2016.2.2
読書日:2022.1.5

カート・ヴォネガットが各大学で行った卒業式での講演を集めたもの。

カート・ヴォネガットはとても人気があり、アメリカ人ならほぼ誰でも、日本人でもかなりの人は知っているという人だ。人気なので卒業式で講演もよく頼まれるのだという。この本の講演は、1つを除いて1990〜2000年代に行われたもので、ヴォネガットは2007年に亡くなったから、最晩年の講演ということになる。

カート・ヴォネガットって有名だから、わしも手にとったことはありますが、実をいうとどこがすごいのか、どこが面白いのか、さっぱり理解できません。「タイタンの妖女」って何回も読んだはずなのに、まったく頭に残っていない。そんなわしなので、この本を手に取りましたが、やはりまったく面白くなく、ためにもなりませんでした。

まあ、このくらいわしに合わない人も珍しいので、ほとんど書くこともないのですが、読んでフーンと思ったところだけ少し書きます。

ヴォネガットって社会主義者なんですね。労働問題に関心がある。でも、リベラルには珍しく、キリスト教を評価しているんですね。どこを評価しているかと言うと、他人に寛容なところで、助けようとするところですね。で、結局、彼が求めているのはコミュニティなんですね。家族も夫婦も壊れてしまうかもしれないけれど、小さな町くらいのコミュニティの中で暮らすのが一番いいと思ってるらしい。コミュニティが彼の終着点なわけです。

で、第2次世界対戦後にイリノイ大学に行って、科学の勉強をしたんですけど、熱力学がさっぱりできなくて科学者は断念して、文化人類学を学ぶことにして、ここでぶっとんだ先生に師事するんですね。この先生のいかれた発想が気に入って、論文を書くんですけど、修士論文は通らなかったそうです。彼はいろんな発想をこの先生から得たらしいですね。この先生は、どうやら学者として芽が出ずに、自殺したらしいですけど。

この先生だけではなくて、インディアナポリスの公立高校にも、当時の戦争という時代背景で半分研究者みたいな人たちが集まっていたらしく、高校の教育も彼の発想の源らしいです。ですから、学校というものを高く評価していますね。

うーん。やっぱり、わしには合わないですね。正直、発想自体が理解できないですね。でもまた間違えてヴォネガットの本を手に取ってしまいそうですが。

おじさんからも影響を受けたらしくて、表題の「これで駄目なら」というのはおじさんがよく言っていたセリフらしいですね。原題では「IF THIS ISN'T NICE, WHAT IS?」で、本では「これで駄目なら、どうすれば」って訳していますね。ちょっとニュアンスが合わないかな。わしなら「これじゃないもん、なんて言わない」かな? ますます分かんないですね(笑)。まあともかく、意味は「これで十分満足」ということです。足るを知って、今の幸運に気が付かなければいけない、ということでしょう。

まあ、これは理解できますけどねえ。

★★☆☆☆

 

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