林真理子 講談社 2022.2.14
読書日:2022.10.22
芸術家・田原桂一と梨園の妻であった博子の、出会ってしまった二人が激しい愛を貫いた実話。
うーん。どのへんが奇跡なのか読んでもよく分からなかった。
みなさんも人妻が夫以外の男を好きになって、夫と離婚後に再婚して、いまは幸せに暮らしている例をひとつかふたつ思いつくのではないだろうか。
まあ、一般的には不倫、略奪愛ということになり、離婚時にどろどろになるのかもしれないが、円満に離婚して再婚した例だってあるだろう。少なくともわしはそういう例を知っている。
こういう例となにが違うのだろうか。
博子がいろいろとうるさい芸能人世界の梨園の妻だったというところだろうか。それとも相手が有名な芸術家、田原桂一だったというところだろうか。二人のスマートな付き合い方だろうか。子供との関係も壊さずにうまく切り抜けたところだろうか。それとも誰よりも相手を求め合い、激しく愛し合ったというところだろうか。
最後の、他の人よりも激しく愛し合った、というのは、他の人の場合とどうやって比べればいいのだろう。比べようがないではないか。ひとはそれぞれ、自分なりの激しさで愛し合うのだろうから。激しくなくても、静かなまったりとした愛でもいいではないか。
結婚前であろうが結婚後であろうが、この人、と思える人に出会えて相手もそう思ってくれるのなら、それはすべて奇跡になるだろう。
林真理子が知らないだけで、そういう例はたくさんあるのではないだろうか。平凡すぎて本にはならないかもしれないが。
★★★☆☆
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