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ホルムズ海峡問題 中国はどう出るのか

AIによる生成画像。

4月2日(日本時間)のトランプ大統領の演説は、従来の主張を繰り返しただけだった。つまり、トランプ大統領の主張によれば、すでに目標を達成したのでイランへの攻撃はあと数週間で終わる、ホルムズ海峡の管理はしない、石油のほしい国が自分で石油を取りに行け、ということである。

アメリカが本当に戦争を止めて引き上げるのなら、それはそれで喜ばしいことである。アメリカもイランも両方とも勝ったと主張できる。そして、ホルムズ海峡に関してようやく世界の国々が具体的に動けることになる。

この場合、事実上、イランがホルムズ海峡を管理することになる。そして、中国がどう出るかがここでのひとつの焦点である。中国はエネルギー供給の観点から中東への関与を強めており、とりわけイランとの関係は経済・安全保障の両面で深化してきた。こうした背景を踏まえると、中国がイランによる「安全航路の管理」に積極的に協力し、影響力を高めていくシナリオは十分に考えられる。

その手段は必ずしも軍事に限らない。港湾整備、監視システムの提供、共同演習など、比較的低リスクな形で関与を強めることはすでに現実的な選択肢となっている。しかし状況がさらに不安定化した場合、中国が限定的な軍事力の派遣に踏み切る可能性も排除はできない。例えば、商船護衛や機雷除去といった名目での海軍展開は、国際的にも一定の正当性を持ち得るからである。

中国は焦らずに長期戦略でくるであろう。イランは現在、ホルムズ海峡に通行料を課しておりその代金は中国通貨の元で支払うように通告している、との報道がある。これだけでもすでにアメリカにとって打撃であるが、中国がホルムズ海峡の管理にじわじわ入っていくと、湾岸諸国にも元決済が広がっていく可能性がある。こうして、10年後にホルムズ海峡が中国の実質的な影響圏に入っていないと誰が言えるだろうか。決してありえないシナリオではないだろう。

このような状況は、日本にとって最悪の展開である。従来はアメリカの安全保障体制の下でシーレーンの安全が確保されてきたが、その前提が揺らぎ、日本は新たな現実に直面することになる。中国の関与が強まり、その影響力が航路の運用や安全確保、さらには元決済に及ぶようになれば、日本は外交・安全保障の両面で中国を無視しにくくなる。結果として、対中政策の選択肢が狭まり、経済安全保障や外交姿勢において制約を受ける可能性が高い。このようなことにならないように、日本政府には戦後のホルムズ海峡の国際管理には積極的に参加して影響力を確保してもらいたい。

このような展開は、覇権の変化を論じるレイ・ダリオの議論とも響き合う。すなわち、重要な海上交通路への関与のあり方は、大国の影響力の移り変わりを示す指標となりうる。ホルムズ海峡をめぐる中国の関与は、その一つの試金石として注視すべきテーマである。

中国がいま、ホルムズ海峡を熱烈な関心を持って観察していることは間違いない。わしとしては、近い将来、「中国のためのインド・太平洋」になっていないことを祈るばかりである。

(参考:レイ・ダリオのホルムズ海峡をめぐる論考)

 

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