島本和彦 筑摩書房 2025.10.10
読書日:2026.3.8
漫画家の島本和彦が、21歳のデビュー以来40年以上締切と闘ってきて、締切と付き合い、締切を超える方法を伝授する本。
島本和彦の「アオイホノオ」のファンなのでこの本を読んだわけです。なにしろ1980年代を舞台にしたこの漫画はわしの青春時代と重なっているわけですから、読んでいて素直に楽しい(笑)。当時はわしもほとんどの週刊漫画を読んでいたのです。
しかしどうも最近、アオイホノオのコミック化のペースが落ちているようだ。どうしてなんだろうと思っていると、この本のなかで、「コミケが忙しいときには32ページの連載を16ページにしてもらっている」と書いてあるではないか。
なにー!
いま島本和彦は、「ヴァンパイドル滾(たぎる)」を絶賛、週刊誌連載中。たぶん、こっちに精力を取られて、アオイホノオはページ数を減らしているんだろう。
しょうがないなあ、仕方ないから滾(たぎる)も読むかな。
というわけなのだが、締切に関して言うと、島本和彦は締切に追われる漫画家の生活に憧れて漫画家になったような人だから、締切に追われるのは彼にとっては「漫画家ごっこ」の延長なのだ。
この本を読む限りは、島本和彦は、締切があるのにどうしても出たかった小学館の謝恩会を優先して、落とすギリギリまで行ったことはあるが、本当に原稿を落としたことはこれまで一度もないらしい。これはとても偉いことだなあ、と思う。
そしてなぜか締め切り間際になると、スーパー島本が降臨して、評判のいい作品ができるんだそうだ。ただし、これは体力が削がれるので、何度も続けてやるわけにはいかないのだという。
しかも島本和彦は還暦をすぎてもいまだに成長していることが分かる。
今まではイチャイチャを描くことが苦手だったが、最近はそれを克服して、それができるようになったのだという。アオイホノオの女子アシスタント、「マウント武士」のような可愛い女の子も描けるようになった。
結局、本当の締切とは、自分の壁なんだという。そして、その壁を超える原動力になるのは、嫉妬なんだという。なんか手塚治虫からも同じような話を聞いたような(笑)。
もっとも彼が研究しているのは漫画ばかりで、漫画以外からネタを持ってくるというような意識が乏しいのだけれど、これだけ長くやっていると、いつの間にかいろんな手法を駆使できるようになって、幅が広がっているような気がするね。長くやっていることにも意味があることが分かる。
どうやら島本和彦のピークはこれからのようだ。楽しみー。
★★★☆☆

