平山亜佐子 左右社 2025.7.30
読書日:2026.2.2
明治、大正、昭和のはじめにかけて、世間を騒がせた、あるいは世間の注目を浴びた女性を20人紹介した本。
平山さんはデザイン事務所に入ってデザインをしていたんだけど、いつの間にか破天荒な女性の本を出す専門家になってしまったらしい。本書と同じような本をたくさん出している。そして、どうやらこの手のネタに困らないらしいのだ。たぶん、世の中のメディアはいつの時代も破天荒な女性を受けるネタとして扱うのが得意なのだろう。こうして、いろいろな女性が話題に上がり、ある女性を調べると芋づる式にいろんな女性の人生が目に入ってくるようだ。
いろんなタイプの女性が紹介されているのだけれど、美貌系で注目を集めたひとは今見てもやっぱり美しいと思ったな。ドーリー(人形)と呼ばれたバロン薩摩こと薩摩治郎八(さつまじろはち)の妻、薩摩千代はヨーロッパの美人コンテストに入賞するくらいの美人で、写真をみるとへーと思ってしまう。しかし彼女はバロン薩摩の作品と呼べる女性で、彼女自身の意志はほとんど感じられない。
それに比べれば同じ美貌系でも、バイオリニストの諏訪根自子(すわねじこ)は美貌と才能を兼ね備えた人物で、意志も強く、歴史の荒波を自力で乗り越えてきたという点で興味をよりひく。プロマイドの売れ行きが抜群だった諏訪根自子はヨーロッパへ行くと、自分の意志で日本に帰ってこずにヨーロッパで活躍し、ナチスのゲッペルスから伝説のバイオリン、ストラディヴァリウスを贈呈されたりしている。亡くなられたのは2012年(92歳)ということだから、つい最近までご存命だったのですね。
わしが一番面白いと思ったのは、「シベリアお菊」と呼ばれた出上キク(いでがみきく)ですね。山口県で1878年に貧しい漁村に生まれて、17歳で大陸に渡り、シベリアへ。娼館を兼ねた旅館などで荒稼ぎをする。しかし、シベリア出兵した日本軍に情報収集を頼まれると、私財を投じてスパイ活動を行い、日本軍に協力、感謝状までもらう。日本軍がシベリアから撤退すると、キクの運命も下り坂になり、アヘンと酒に溺れて亡くなるが、最期まで感謝状は肌身離さず持っていたそうだ。なんかこの人生は石光真清の人生を彷彿とさせるなあ。
20人の中で、人生の最期を穏やかに過ごせた人はあまりいない感じ。正直、その厳しい人生に、読んでいると切ない気分になることも多かったです。
平山さんには今後とも破天荒な女性を発掘していただきたい。
★★★★☆

