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自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学

しんめいP 監修・鎌田東二 サンクチュアリ出版 2024.4.23
読書日:20206.1.24

東大法学部を卒業したエリートでありながら、まったく仕事ができない著者は社会人となってから落ちこぼれ、自宅でふとんにくるまってニートの生活を送りながら、東洋哲学を読み漁り、自分を見つめ直した本。

著者が自分について説明した略歴が素晴らしすぎるので、本に書いてあることをそのまま記載しようと思う。

大阪府出身。東京大学法学部卒業。大手IT企業に入社し、海外事業で世界中とびまわるも、仕事ができないことがバレてひそやかに退職。鹿児島県にある島に移住して教育事業をするも、仕事ができないことがバレてなめらかに退職。一発逆転をねらって芸人としてR‐1グランプリ優勝をめざすも1回戦で敗退し、引退。無職に。引きこもってふとんの中にいたときに、東洋哲学に出会い、衝撃を受ける」

この文章から、ものすごくいろんなことが喚起されません? この謎の文章力がこの本の魅力です(笑)。なんというか、超訳力がすごすぎる。どこか捨て身と言えるような、抜け感があります。ベストセラーになった理由がわかる。

では、なぜ東洋哲学だったのか。西洋哲学は生き方に関係ない、認識論みたいな話が多すぎるのだという。その点、東洋哲学は、徹頭徹尾、自分のことしか興味がないような内容であるという。そして東洋哲学の究極の目的は「楽になること」なんだそうだ。

なるほど、確かにそういう面があるかもしれない。

こうしてしんめいPさんは、ブッダから自分が存在しないことを学び、龍樹から世の中の全てはフィクションであることを学び、老荘の道(タオ)からありのままの自分で楽しむことを学び、禅から言葉はいらないと学び、親鸞からダメなやつほど救われることを学んだ。

ここまでは自分をなくすような話だった。楽にはなったが、何かを生み出すような話ではなかった。しかし、最後の空海密教でがらっとそれが変わるのである。

空海の教えは、自分というものは無くこの世はフィクションだから、どうせなら大きな絵を描いてなりきってしまえばいい、というものなんだそうだ。そうやって大きくなれば、人々を救うこともできる。

こうして、しんめいPさんは、なりきりの境地で依頼されてから3年間書かなかったこの本をたった3ヶ月半で書き上げて、その勢いでこれまで絶対買わなかったような派手なアロハシャツを買って、マッチングアプリで出会ったと人と2ヶ月後には子供を作ったそうだ。

うーん、空海大日如来の力、すごいな。

わしは、空海密教についてこれまであまり関心を持ったことがなかったので、実はこの章だけはよく分からなかった。ここはひとつ、空海の本を読んでみるかな。

と思ったら、空海の参考文献は、北大路欣也主演の映画「空海」だって(笑)。配信もあるようだし、じゃあ、さっそく観てみるかな。

最後に鎌田東二さんの解説があるんだけど、ほぼ解説していないという、稀有な解説でした。まあ、この本にはぴったりかな。

 その後、軽く検索したところ、しんめいPさんが勤めた大手IT企業とはDeNAだったらしい。担当はゲームプロデューサーだったらしい。鹿児島での教育事業というのは、KADOKAWAの「N高校」に関連した事業だったらしい。普通なら任せてくれないような仕事を、大手と始めているのだから、ある意味すごいよね。たとえ、失敗したとしても。

〈映画「空海」の感想〉:そういうわけで、「空海」を観た。空海についてよく知らなかったので、こういう人だったんだ、というのが正直なところ。死にたいという人に、死んで成仏するのではなく生きてこの世で成仏しろ、と説くところが印象的(即身成仏というらしい)。こういう人だから、高野山のような仏教のテーマパークのようなものを作ったんだ、と納得。お遍路みたいな体験型エンターテイメントにも理解がある。空海なら、現代人の「推し活」とかにも理解を示すような気がするね。

★★★★☆

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