「教養主義の没落」の中に、当時の大学生が読んでいた雑誌の話があったんですね。
エリートが読んでいた雑誌が教養的な総合雑誌からしだいに軽い雑誌に変わっていった、という話があったわけです。
その中で、つまり軽い雑誌の方にリーダーズ・ダイジェストを発見して、わしは興奮してしまいました(笑)。わしは高校の頃、リーダーズ・ダイジェストを購読していたんですね。しかも自分のお小遣いで自腹で。だいたい年間購読で1万円弱くらいじゃなかったかしら。もっと安かったかな? わしはお年玉で毎年更新していました。
そしてリーダーズ・ダイジェストと言えば、海外のベストセラー本を要約して何冊分かを1冊にまとめたもの(世界ベストブックス)を売っていたんですね。このダイジェストがダイジェストしていることが全くわからないくらいに素晴らしいもので、こちらも購読して楽しみにしていました。なにしろお得感が素晴らしかったので。
他の家族のものがリーダーズ・ダイジェスト関係の本を読んでいたとは思えないので、まったくわしだけの個人的な楽しみだったのですね。自腹でリーダーズ・ダイジェストを購入していた高校生がいたのか、周りに聞いてみたことがないのでわからないのですが、まあ、ほぼいなかったんじゃないかしら。
リーダーズ・ダイジェストってアメリカの中西部の保守的な中産階級の人たちが読むような雑誌なんですね。そういうわけで、けっこうミルトン・フリードマン的な、新自由主義的な話が入っていました。わしが新自由主義に感染したのは、リーダーズ・ダイジェストのせいだと断言できます(笑)。
ところが急にリーダーズ・ダイジェストは休刊になりました。むちゃくちゃがっかりしましたね。今調べたら1986年でした。するとわしの大学在学中に休刊になったんですね。
その後、「リーダイの死 最後の編集長のレクイエム」という本を読んだのですが、記憶では休刊時のリーダーズ・ダイジェストの発行部数は40万部あったそうです。40万部で休刊ってありえないでしょう。
実はリーダーズ・ダイジェストって、雑誌やダイジェスト本で儲けていた会社ではないんですね。雑誌の読者に特別な商品を提供して、それが収益源だったようです。日本では夏目漱石全集や英語教材のようなものを盛んに売っていたようですが、そういったものがだんだん売れなくなって、休刊ということになったようです。このあと、アメリカの本社は上場しているので収益が重要だったのかもしれません。
雑誌とダイジェスト本だけで続けることは十分可能だったでしょうに、そもそも翻訳していただけなんだからそんなにコストもかからなかっただろうに、休刊するだなんて、創業者の意志とは別の論理が働いていたのでしょう。
まあ、わしは雑誌と世界ベストブックス以外はまったく買わなかったので、リーダーズ・ダイジェストの休刊に協力したのかもしれませんね(苦笑)。

