ジェイ・サミット 訳・夏目大 東洋新報新社 2024.12.31
読書日:2025.6.11
多くの企業を育てた億万長者の起業家ジェイ・サミットが、フリーターの青年を、アドバイスだけで1年間で100万ドルの収入が得るように育てることに挑戦した本。
なかなか面白そうなことに挑戦すると思ってこの本を手に取ったのだが、しかし読み始めてちょっとがっかりした。
わしはてっきり、その辺の普通の若者を億万長者にする話かと思ったのだ。しかし、選ばれた青年ヴィン・クランシーは、確かにイギリスからロサンゼルスに来たばかりで、この時点ではなんの資産もなかったのだが、すでにイギリスでコンピューターやマーケティングで独自の才能を発揮しており、もうどうやってそれを開花させるかどうかという段階だったのだ。「君ほど大富豪になれる可能性の高い人はいない」とジェイ本人が言うような人だったのだ。
もちろん、ジェイ・サミットのアドバイスは有効だっただろうし、ヴィン・クランシーが失敗する確率を下げて成功への最短距離を歩ませることに成功したのは間違いないだろう。これほど強力なメンターがついていたら、不安も和らげられたことだろう。
でもやっぱり、そのへんを歩いている適当な青年をランダムに選んで、そういう人でも億万長者になれるという、そういう話にしてほしかった。まるで映画みたいな話かもしれないけど、それくらいじゃないとインパクトがない。ほら、昔の漫画にときどきあったでしょ、適当な子供をさらって天才的な格闘家に育てる、みたいな(笑)。まあ、そんなふうに適当に選んでも、選ばれた方も困ってしまうかもしれないけど。
なお、ジェイ・サミットはもちろん人生の成功とは億万長者になることだと言っているわけではない。実際、彼の息子のひとりは映画の脚本家を目指して、当然成功するまでにはけっこう時間がかかったらしいけど、その息子のことをとても誇りに思っているという。だから、大富豪になることを成功と言っているわけではない。
それに、手っ取り早くヴィン・クランシーを成功させるのなら、知人を紹介するなど便宜をはかってあげればすむことだけど、そういうことはせずに与えるのはアドバイスだけというルールで挑戦したのは、まあ、よかったでしょう。
書いてある内容は、えーと、普通です(笑)。まあ、この手の本にはよくあることが書かれています。
最後に、育てられた方のヴィン・クランシーの言葉が残っていますが、アドバイスのすべてに納得できたわけではないけど、とりあえず全部イエスと言って、その通りにしたそうです。このへんの素直さはとても偉いのかもしれない。せっかくのアドバイスをもらっても結局なにもしなかったという人はたくさんいるでしょうからね。もっともジェイくらいの大物のアドバイスをないがしろにするのはなかなか難しい気もしますが。
まあ、億万長者になりたい方は読んでみてもいいのではないでしょうか。
★★★☆☆