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「夢のエネルギー」核融合の最終解答

アーサー・タレル 監修・横山達也 訳・田澤恭子
読書日:2025.4.30

核融合(nuclear fusion)がいよいよ実現に向けて大きく前進しており、民間企業の設立も相次いで活況を呈している状況を取材した本。

最近、核融合関係のニュースが相次いでおり、例えば中国がトカマク型で2025年1月に1億度のプラズマを1066秒維持できたと発表し、続いて2月にはフランスが22分維持できたと発表していたりする。

というわけで、核融合が実現のフェーズに入ってきたことは間違いない。単にフュージョンと言えば、最近では音楽のことではなく核融合のことを指すんだそうだ。(著者の周りだけなのでは?(笑))。

でもその発展具合を最近のAIとか半導体のスピードと一緒にしてはいけない。核融合が実現できると考えられる時期は、早くて2030年代であり、実際に発電して電気を供給できるようになるのは2050年代とか、まあそういう感覚なのである。実現に至るまでには、まだひと山、ふた山ではすまない超えなければいけない山が控えているだろう。まだ爆発的な加速度が始まるティッピングポイントを超えたか超えてないかという印象だ。

実はこの本は2021年の原著の本で、普通なら技術的に時代遅れになるところだが、なにしろ今の核融合発展のスピードでは、まだ間に合ってしまうのでした(笑)。

もちろん、民間のスタートアップたちは、数年で出力エネルギーが投入エネルギーを上回る、Q値>1、を数年以内に達成すると息巻いており、それが実現するかどうかは別にして、現実にそういう企業に資金が集まっていること自体が時代の雰囲気が変わったことを示している。(なお、まだ成功したという話は聞かない)。

ここで、ちょっとこの本で使われている言葉をピックアップしてみよう。これらの言葉が、今後かっこいいということになるのかもしれないから。

スタービルディング:星(恒星)を創ること、核融合のこと。核融合は恒星で起きている現象を再現しているから。
スタービルダー:核融合の研究者や起業家のこと。
スターマシン:核融合炉のこと。
スターパワー:核融合炉で発電した電気のこと。
フュージョン:いろんなフュージョンが世の中にあるけれど、これからは核融合のこと。

やたらスターという言葉が並んでいますが、今後はスターといえば夜空の星のことではなくて核融合のことを指すようになるのかもね。

技術的な問題は、いかにプラズマを制御するかという部分につきるのだけれど、これはコンピューターがさらに発展して、シミュレーションによる解析・設計により解決できそうな印象を持ったな。

核融合発電の実用化は2050年頃だから、二酸化炭素による気候変動を抑えるのには間に合わない。でも、実用化できれば、燃料は3300万年分あり、ほぼ無限にある。しかも核分裂による原子力発電よりははるかに安全だ。(何かあれば不安定なプラズマが維持できずに自動停止するから)。そして、核融合で発生した熱をつかったガスを噴射すれば、恒星間宇宙船も実用化できる。

シンギュラリティが起きると言われる2045年頃に、核融合も実用化されるわけで、未来が楽しみですね。それまでなんとか生きていたいなあ。(やっぱり、わしは「テクノトピア的未来」の側の人間)。

★★★☆☆

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