ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

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トランプ関税対中国

トランプ関税と中国について何か書かなくてはいけないような気がして、こうして書いているわけです(笑)。

すでにニュース等でみなさんお気づきだとはおもいますが、この勝負、トランプのほうがどう考えても不利ですね。

中国の輸出のうちアメリカ向けは2023年で14.8%。とくに輸出先としてアメリカに大きく頼っているような感じはしませんね。中国がアメリカから買わなくてはいけないものとしては先端的な半導体半導体製造用の装置などがありますが、すでにこれらは何年も前から規制されています。なので、すでに中国には耐性があります。

中国の輸出業者、輸入業者の中には不満を持つ者がいるかもしれませんが、わざわざ中国共産党に逆らうような人はいないでしょうし、しかもケンカを売られている方なので国民は団結するでしょう。中国経済はいま不況の瀬戸際にいて普通なら国民は中国共産党に対して不満を持つでしょうけど、そこにアメリカというめったにない敵役が登場したので、中国共産党は喜んでいるかもしれませんね。すべてはアメリカの責任とすればいいのですから。

しかも、トランプ関税に困っている東南アジアやアフリカの国々と貿易で協力体制を作れるので、さらに喜んでいるでしょうね。ASEAN諸国だけではなく、日本と韓国とも、3月に日中韓経済貿易大臣会合がソウルで開かれています。6年ぶりだそうですが、たぶん中国は日本を優遇して取り込もうとするでしょう。実際、日本もそれに乗らない手はありません。

というわけで、中国、というか中国共産党にとってはトランプ関税は政治的に恵みの雨ということになりかねなません。

一方のアメリカにとっては、話題となっているiPhoneの価格だけでなくノートパソコンやメモリなどいろいろな電子機器が関税により高くなってしまうので、困ってしまうでしょう。データセンター建設費は高騰するでしょうし、家電も同じです。半導体や電子機器の関税は今週発表の予定ですが、どんなふうになるのか、楽しみですね。テック業界もどのような反応をするのか楽しみです。

アメリカの輸出も、すでにボーイング社の飛行機の新規納入は中国政府により禁止されましたし、ただでさえ問題のあるボーイング社は米政府に泣きを入れるでしょう。農産物はほぼ中国への輸出がなくなるので、農業関係者もトランプに泣きを入れるでしょう。

数ヶ月後にインフレが発生したとき、あるいは輸出が急減したとき、米国市民がどんな反応をするのかも興味深いですね。中国国民は耐えるでしょうが、米国国民は値上げに耐えられないでしょう。そしてトランプも国民の不満を抑えられるでしょうか。

ほかにも、中国はアメリカ国債売却という脅しも可能ですし、レアアースの輸出停止も(あまり有効な気はしないけど)脅しにはなります。

こうなると、トランプ関税によって泣きを見るのは、アメリカの同盟国の国々が中心ですね。これらの国々は、アメリカとの同盟が基本になっているので、アメリカとの関係を切れません。なのでアメリカの要求をある程度飲む以外に選択肢がありません。とくに日本はいじめやすいので、集中的に狙われるでしょう。すでに一連の交渉で最優先とさせられて、アメリカはいじめる気満々です。

まあ、日本はそうとう譲歩するでしょうが、日本もそんなに影響はないんじゃないかな。日本も輸出のうちのアメリカの割合は20%で約20兆円。GDPの600兆円と比べるとあんまり大きくない。もっとも対アメリカの貿易黒字額は6兆円ででかいから、これにより貿易収支は赤字になるかもしれませんが、日本国内はこれから好景気に向かうような気がするし、これまで日本に還流してこなかった経常黒字(のうちの一次所得)が戻ってくるようになれば、そんなに心配しなくてもいい気がするな。(そろそろ戻ってきてほしいなあ)。

トランプのやっていることは、これまでのところ、(ウクライナなどの)外交も含めて、どうも裏目になっている気がします。トランプ政権により分かるのは、もはやアメリカが覇権国でないということが、これまでになくはっきりと世界に示されるということなんじゃないかな。

もちろん、アメリカという国は単独でもやっていける国ですから問題ないでしょうが、その同盟国たちはほんとうにこれからたいへん。

こんなときには世界を俯瞰的に眺められる政治家が必要です。そうなると、安倍晋三という稀有な政治家を失ったのは日本にとって本当に損失以外の何ものでもないですね。

まあ、いつもどおり、わしの予測はあてになりません。この前も円安が1ドル200円を越す可能性があるなどと書いていましたが、ぜんぜんそのレベルになりませんでしたからねえ(笑)。それにこの話は当面の話であって、中長期的には米中分断は中国に対してより厳しくなるんじゃないでしょうか。

個人的にはパソコンがだぶついて、日本に安く出回らないかなあ、と思っているんですが。(なぜか安いパソコンをふらふら買ってしまう癖があるので)。

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