白取春彦 三笠書房 2024.9.10
読書日:2024.12.1
古今東西の哲学者たちの発想を100個集めたもの。
日本の秀才たちの人って本当に優秀だと思う。海外の思想なんかの難しい話をものすごくうまくまとめてくれるのだ。でも逆に自分のオリジナルのことを言ってくださいというと、なんだかとてもつまらないことが多いんだけど(笑)。まあ、そういうわけで、この本についてもよくまとまっていて感心した。
そもそも哲学者は科学者と違って実験をするわけでもないし、せいぜい日常の当たり前のことを観察するくらいで、思索のみで真実を見つけ出そうとする人たちだから、言っていることの全ては仮説なんですね。だから、要するに100の哲学上のトピックスを集めれば、それが100の仮説ということになるわけで、これは題名の付け方が秀逸で、企画の勝利だと思いました。で、白取さんは、100のトピックスのそれぞれをものすごくうまく書いてくれて、とても感心したの。やっぱり本業の人は違う。
こういうのって化学に関するネタをすこしずつ視点をずらしながら数年おきに書いて、ベストセラーを出している左巻健男さんのように、何度でも使えるんじゃないかしら。いいなあ。
内容はギリシャ時代の古いものから、最近のマルクス・ガブリエルの新実存主義に至るまで網羅されていて、目配りも完全。マルクス・ガブリエルの「世界は存在しない」という仮説について、わしは次のようにまとめたが、わしより白取さんのほうがやっぱりうまいなあ、と思った。
まあ、本職の人と比べても仕方がないので(笑)、まあ、いいや。とても感心したので、白取さんのベストセラーである、「超訳ニーチェの言葉」を読んでみようかしら。累計200万部以上売れているんだね、これ。
★★★★☆