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管理職が持つべき決断力 戦史の「韻」をつかめ

中原広 産経新聞出版 2024.4.17
読書日:2027.9.19

国税庁長官だった中原氏が、これからのリーダーあるいはリーダー候補たちに、決断するときの参考になりそうなエピソードを、戦史の中から選んで解説するもの。

いちおう自己啓発の類に入るんだろうけど、これがリーダーの人たちの役に立つとは思えないな。たぶん、自己啓発の体裁を取った、戦史オタクのうんちく本です。

でもまあ、そう思って読めば、それなりに読めます。読んでも、すぐ内容を忘れちゃうんだけど(笑)。たぶん、お金を出してまで読もうとは思わないな。

いくつか面白いと思ったところを。

中原氏は、戦国時代の安国寺恵瓊(あんこくじえけい)という人を2回に分けて取り上げている。一介の禅僧だった恵瓊が、大名にまでなっている。毛利の家臣となり、外交を引き受けた。恵瓊は信長の時代はまもなく終わるが、秀吉は生き残ると読み切っていた。なので、本能寺の変で秀吉が毛利に妥協案を提示したときに、あっさり妥協案をまとめた。そして、本能寺の変を知った毛利側が追撃するのを説得してやめさせた。ということで、毛利側をまとめ上げて、徹底的に秀吉に味方して、秀吉から領地を与えられ、大名になったのである。一方、恵瓊は関ケ原では、毛利内部をまとめきれずに、破れてしまった。

リーダーへの教訓は、内をまとめてこそ、外に強く出られる、ということだそうだ。へー(笑)。

太平洋戦争の海軍の漸減邀撃作戦も2回に分けて書かれていて、興味深かった。漸減邀撃作戦とは、戦力が日本の倍以上のアメリカ海軍に勝つためには、アメリカ海軍が太平洋を渡っている間に潜水艦で敵の艦船を攻撃して数を減らそう、という作戦である。ところが、戦争が始まってみると、空母を中心とした高速の機動部隊を攻撃することが難しいことがわかった。ここで作戦を変えて、兵站物資を運ぶ商業船を狙えばまだ有利に戦えたのに、まったく作戦に柔軟性をなくしていて、あくまでも戦艦を狙ったのだという。アメリカの潜水艦が散々に日本の商船を狙うことで自国の体力が奪われていくという体験を身をもってしていたにもかかわらず、である。

リーダーへの教訓は、作戦自体は現場を知らない本部でも演繹的に考えて作れるが、現場からの不断のフィードバックからの修正は欠かせない、ということだそうだ。

まあ、こういう本もたまにはいいかもね。

★★★☆☆

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