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トークの教室 「面白いトーク」はどのように生まれるのか

藤井青銅 河出書房新社 2024.2.28
読書日:2024.7.15

伊集院光やオードリーの地味な方の若林さんをブレークさせたことで有名な放送作家藤井青銅が、面白いトークの極意を伝える本。

藤井青銅さんは主にラジオで活躍している人。ラジオは当然トークしかないからトークについての経験が豊富だ。特に若いアイドルの担当をすることが多く、トークの素人にトークをさせる必要がある。

でも、面白いトークってそもそも何なのだろうか。藤井さんによれば、それは「笑える話」ではないという。ひとに興味をもってもらえる話が面白いトークなのだという。普通の人がなかなかできない経験をすれば、もちろん興味を持ってもらえて「エピソードトーク」にはなるが、実際にはそうそう特別な経験をするということはない。

そうするとなんでもない日常の中からトークのネタを拾うことになるのだけれど、それは「切り口」なのだという。

渋谷のスクランブル交差点は世界で有名だけれど、日本人にはまったく普通のことだ。しかし外国人からみるととてもおもしろいんだそうだ。信号が変わった途端に一斉に歩行者が歩きだして、ぶつかることなく見事にすれ違って渡っていく。とくに雨の日は色とりどりの傘が動いていく様子がとてもきれいなんだそうだ。

地方に行くと、ここには何もない、と現地の人がいうようなところにも、話を聞いてみると面白いと思えることがたくさん見つかることが多いという。

同じように、アイドルやタレントに何かありましたかと聞いても、なにもない、と答えることが多いという。でも、聞いてみるとけっこういろいろな事が起きている。さらっと本人は流すけれど、「その辺をもっと詳しく」と聞くと、「えっ、この話面白いですか?」と逆に驚かれるという。

そうして台本を作るのだが、台本はあまり詳しく書かずにメモ程度にする。詳しく書きすぎるとそれを読むだけになってしまって、伝わらないからだ。話し方はなめらかでなく、言葉をつかえながら話してもいいけれども、必ず自分の言葉で話す。自分の熱量を伝えることが大切だからだ。(ただし、メモには忘れがちな固有名詞や難しい単語などは書いておく)。

出だしには、自分には当たり前だけど聞いているひとにはわからないことを先に話すようにする。(これも切り口と同様に、自分ではなかなか分からない)。

終わり方も、とくに「オチ」をつける必要はない。終わり方は、これでおしまい、という感じの自然な終わり方で十分だという。

というわけで、面白いトークとは、自分の日常の出来事をちょっと変わった切り口で切り取って、自分の言葉で話す、ということに尽きるようです。

まあ、ブログだって、日常のことをダラダラ書いているブログが人気だったりしますからね。分かる気がします。(このブログが人気のないことをひがんでいるわけではありません、念のため(笑))。

★★★☆☆

 

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