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料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか?

リュウジ 河出書房新社 2023.10.20
読書日:2024.5.3

よく「味の素」を使うので批判され、そのたびに反論してきたユーチューバーで料理研究家リュウジが、味の素についての自分の見解をまとめた本。

味の素の主成分はグルタミン酸ナトリウムで、人間の身体の中に普通にあるアミノ酸だが、なぜか毒物扱いされて、いつの間にか家庭から消えていった。しかし、リュウジさんたち味の素支持派の活動で、徐々に復活しつつある。

リュウジさんは町中華をしていた祖父の影響で、普通に味の素を使っていた。ある時、納豆が祖父の家で食べているよりも美味しくなくて、聞いてみたら、「味の素を入れていないだろう」と言われて使ってみると、いつもどおりの美味しさになったという。これで味の素の力に目覚めた。

高校を卒業して、流行っているイタリアンレストランで働いていたが、そこでは味の素が普通に使われていたそうだ。外食店で味の素を使っていない店はほとんどないという。

そういうわけで、味の素の威力を知っているリュウジさんは積極的に味の素を使うようになる。リュウジさんが提供したいのは簡単で美味しい料理で、味の素はとても便利なのだ。

その中で大切なのは、適量を使うことだという。たくさん使えばいいというものではないのだ。かつては料理本の中で、味の素が普通に使われていて、どの程度使えば丁度いいのかという技術が知られていたが、味の素が家庭から消えてしまったために、その技術が失われてしまった。リュウジさんはそのために「何振り(1振り0.1gだそうだ)」とレシピに明記して基準を示すようにしているそうだ。

味の素が毒という観念ができたのは、1960年代、アメリカで中華料理店で食事をした人が健康被害を訴えて、その原因がグルタミン酸ナトリウムと疑われたのが原因だという。中華料理店症候群と呼ばれて調査が行われたが、安全性の証明に20年もかかってしまった。あまりに長い時間がかかったので、風評被害が今も続いているのだそうだ。それで味の素はすっかり、陰に隠れてしまった。つまり、出汁やコンソメ、つゆ等の別の調味料のなかに隠れてしまったのだという。(なので、味の素反対派の人達も、じつは毎日、味の素を摂っている。)

わしは味の素が毒だと思ったことはない。体の中にある普通のアミノ酸が毒のはずがないからねえ。なので、味の素反対派の人達は、コロナワクチン反対派の人達のようなメンタリティの人たちだと思っております。身体の中に人工物を何も入れないのが一番いいと思っているような人たちですね。

味の素での一番の思い出は、子供の頃、自分で料理を作っていたときに、味の素の蓋がとれて、瓶の半分くらい入ってしまって、むちゃくちゃ不味くなったことだなあ。仕方がないので我慢して食べましたが。

★★★☆☆

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