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米海軍特殊部隊(ネイビー・シールズ) 伝説の指揮官に学ぶ 究極のリーダーシップ

ジョッコ・ウィリンクス リーフ・バビン 訳・長澤あかね CCCメディアハウス 2021.7.27
読書日:2023.4.11

イラク戦争ネイビー・シールズを指揮したジョッコが、リーダーシップとは究極の責任感を持つことで、究極の責任感とは作戦に関係するすべてのことに責任を持つことだ、と主張する本。

ジョッコ・ウィリンクスのことは、「巨神のツール 俺の生存戦略 知性編」で知った。よく分からんがとても人気のある人らしい。ポッドキャストが人気で、ジョッコの言葉だったらいくら聴いても飽きない、という人がいっぱいいるらしい。

読み始めて、最初は「究極の責任感ねえ」と斜に構えていたが、だんだんこれはすごいことかもしれないと思い始めた。

ともかくリーダーの使命は作戦を成功させることで、そのためには何でもするし、どんなことが起きても全て自分の責任だと言えないといけないのだ。部下からみれば、このくらい安心できる上官はいないだろう。何が起きても自分が責められることはないと確信できる。このような人の下につくと、自分も自分の責任範囲については部下に責任を押し付けるようなことはしなくなり、自然と「俺の責任です」という言葉が出てくる。素晴らしい。

そしてなにかミスや不具合が発生したときに、自分の間違いを認める上官を、部下は見捨てることはけっしてないという。間違いを認めることは、最大の勇気を示すことなのだ。そうしてこそ、次は失敗しないために何をすべきかという課題に取り組めるという。

このようになるためには、エゴは絶対にだめなのだという。謙虚であることが絶対条件になる。

部下に対してだけではない。上官に対してもリーダーは究極の責任を持たなくてはいけない。ジョッコのような現場のリーダーに対して、遠く離れた司令部の上官は現場のことがわからず現場の兵士が怒るような指示を与えたりする。よくドラマなどで問題になる現場と上層部の乖離だが、遠くの司令部とつなぐこと、これもリーダーの責任の範囲なのだという。米軍はひとつひとつの作戦に膨大な書類仕事をともなうのだが、そんなものを提出しなくてはいけないのは、司令部が現場がわからないから、確認しようとしているだけなのだという。司令部はこちらを助けようとしているのだが、わからないから確認しているのだ。ジョッコの部隊、ブルーザーは完璧にその書類を提出したのだそうだ。そうするうちに現場の理解が進んで、ブルーザー部隊は信頼を得て、どんどん仕事がやりやすくなったという。

作戦を成功させるためには、上官が全てを支持するのではなく、個々の兵士が自分で判断して動けなくてはいけない。そのためには、何のためにこの作戦をしているのかという理由を説明できなくてはいけないという。作戦の理由がわかっていれば、不可抗力的な状況が起きても部下は判断できるし、そうなれば部下を信頼して任せることができる。作戦もシンプルにできるのだ。そして何が大切かわかっていれば、優先順位もつけやすく、今何をしなければいけないかもわかりやすい。

上だけではない。横との関係もリーダーの仕事の仕事の重要な仕事だ。そうすると、お互いにカバーしあって、作戦がうまくいく可能性が高まる。もちろん、内部でもお互いにカバーし合うことは必須だ。

そして自信を持って作戦を行うには、入念なリハーサルが欠かせないという。それは作戦の先頭部分だけではなくて、単純なトラックから荷物を下ろすという作業一つすらリハーサルをするという。このような単純作業を早く確実にできるほどリスクが減るからだ。どんな簡単なことでも練習をするのだ。

などということが、書かれてあって、究極の責任感というのはなんとも多岐にわたるのである。いちおうビジネス書の体裁を取っていて、これらがビジネスのどのような状況に当たるのかが例が書かれてあるので、ビジネスの状況に応用することも可能だ。とくに中間管理職に向いている内容に思える。

まあ、わしは組織のリーダーシップには向いていないと自分でも思っているので、このようなことはしたくはないが、しかし、少なくとも自分の人生に対してはリーダーシップは取りたいと思っている。自分の人生のリーダーシップにもこういうのは役に立つよね。自分の人生のリーダーシップって、そんな概念はないかもですが(笑)。

気になって、ジョッコの動画を見てみたが、「いつやるんだ、いまやれ」みたいな短い言葉の動画がたくさんあって、すでに自己啓発の扇動家みたいな感じになっていて、なんかちょっと違うような気もしたが(苦笑)、少なくともこの本はとてもいいと思います。

★★★★☆

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