わしはめったに気分が落ち込むことはないし、これまでウツになったこともない。根がお気軽系なのかも知れない。
しかし、やっぱり、なんとなく気持ちが晴れなかったり、先が行き止まりになっているように感じるときもある。
こんなときは人によっては運動したり、好きな映画やドラマを見たり、休暇を取って旅行に出かけたり、ゲームに没頭したりするのかも知れない。わしもちょっとした筋トレでもすれば、だいたい気分は晴れる。
しかしもっと強烈な行き詰まりを感じたときは、運動程度ではスッキリしない。そんなとき、わしの最後の手段は科学雑誌を読むことだ。で、この科学雑誌はほぼ日経サイエンス、一択である。まともな科学雑誌はたぶんこれ以外にない。エンジニア系としては日経エレクトロニクスも悪くないが、日経サイエンスのほうが面白い。
日経サイエンスを読んでいると、世の中がどんなに景気が悪くて、どんなに暗い状態でも、科学というのは着実に進歩するものだと実感できる。科学的な知識の増え方は景気に関係ないというのが重要だ。景気が悪くて予算のない場合も、なんとか科学者は知識を増やそうと努力する。それに大抵のブレークスルーはそんなに予算をかけない研究で発生している。極端な場合なのは数学で、ほぼ数学者の頭脳だけで終わってしまう。
知識というのは過去に獲得した知識の組み合わせという言い方もできる。これまで獲得した知識が多いほど組み合わせの数は多くなり、新しい発見が幾何級数的に増えていくのだ。だから景気は関係ない。
そして、わしはこのような新しい知識、新しい発想を読むと、ワクワクして、将来の悲観がなくなってしまう。
だからわしは、科学技術の進歩に利することに国家予算をかけることには大賛成だ。ポストドク問題(博士号をとったひとの働き口がほとんどないこと)はあまりに重要な問題に思えるので、ぜひとも国になんとかしてもらいたいものだ。こんな調子では、優秀な科学者が減ってしまうではないか。
そして日本ではあまりに低い科学者や技術者の地位をもっと向上させるようにしてほしい。科学者やエンジニアは使い捨てではいけない。
科学技術を大切にするのは国家の繁栄に必要不可欠だから、だけではありません。わしのダウナー対策にとっても欠かせないものなのです(笑)。