ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

土を育てる 土を蘇らせる土壌革命

ゲイブ・ブラウン 訳・服部雄一郎 NHK出版 2022.5.30
読書日:2022.8.28

現代の農業では土壌が痩せていくばかりなので、農業をしないときも複数の種類のカバークロックを播いて土を覆うようにするとともに、不耕起により土のなかの生態系を壊さないようにすることで表土の流出を防ぎつつ土の炭素その他の栄養素を何倍にもでき、なにより耕運機の作業や化学肥料も必要なくなることで大幅なコストカットができるので利益が増え、作業も減ることで自由な時間も増えて、持続可能な農業ができると主張する本。

わしはこの手の本が好きで、本書にも出てくる福岡正信の「自然農法 わら一本の革命」も読んだことがある。福岡さんの本でもっとも気に入ったのは、何もしないほうがいい、ということで、米を取ったあとのわらをたんぼに撒いておくと、それが土に返って土壌がどんどん増えていくという点だった。このほったらかしというのがとても気に入った。わしはそういうのが好きなようだ。投資もいくつかの銘柄を選んで長期投資、つまりほったらかしにする方向ですからのう。

ケイブ・ブラウンのやっていることは、米と畜産業の違いがあるし、ノースダコタという比較的寒冷な気候の土地ということもあるので、もちろん同じというわけでもないが、基本は似ているようだ。ともかく不耕起(耕運機で土を掘り返さないこと)というのはコスト削減して作業時間も減らす、いいとこ取りの方法で、訳者の服部雄一郎さんの解説によれば、いまの米国の農業は小麦、大豆では40%以上、トウモロコシでは30%以上が不耕起になっているという。アメリカでは農業の大革命が起きているようだ。

不耕起の土地では、通常ではありえないほどの高密度の牛の放牧が可能なんだそうだ。これにはかなりびっくりした。しかも冬の間も雪の中に草のロールをおいておけば牛は勝手に食べて草も糞も播いてくれるという。

不耕起農業がどれだけ楽かというのは、ケイブがいろんな作物や動物を育てている農場をたった3人で運営しているというところから明らかだ。

わしもこういう実験をやってみたいなあ。わしの思いは、適度な広さの土地にいろいろな野菜を播いておくと、勝手に育って好きなときに取りに行けばいいような畑ができるんじゃないかってこと。周りにはイチジクやリンゴの木を植えて、放っておいたら好きなだけ食べられるんじゃないかしら。食べられなかった分はそのまま枯らして、土に返すってことで。最小限の手入れで持続可能な畑ができるかもしれない。

でも日本人はほとんどの人がこまめに手入れをする人たちだろうから、不耕起だとあんまり人目のあるところじゃ難しいかも。管理してないと文句も出てきそうだ。人目を気にしなくてもいいポツンと一軒家的な所に住めばいいのかもしれないが、とてもそんな所には住めないだろうし、きっと夢で終わるでしょうね。それに妻は虫が嫌いなので、付いてこないでしょうし。(とほほ。妻とは趣味のミュージカル以外ではあまり接点がありませんの)。

ケイブが不耕起を始めたきっかけは、農業を始めてから4年間はまったく不作で、お金がないから化学肥料が変えずに不耕起にせざるを得なかったからだそうだ。農業もりっばなベンチャーで、最初はなかなかうまく行かないことを覚悟しなくては行けないようですね。

農場の様子の写真がたくさん載っているのが素晴らしいです。

***** メモ *****
土地の健康の5つの原則
1)土をかき乱さない。(不耕起)
2)土を覆う。(カバークロップ)
3)多様性を高める。(カバークロップの種類、作物、動物、などをなるべく多様にする)
4)土の中に生きた根を持つ。(1年中、冬の間も根を保つために秋に種を蒔く)
5)動物を組み込む。(動物が食べることで植物も刺激され、肉も売れる)。

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以下参考

 

 

 

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