ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える

堤未果 NHK出版新書 2021.8.30
読書日:2022.8.19

日本の大切なデジタル情報資産が外国に無償で提供され、このままいけば国家主権さえも外国のものになってしまうと主張する本。

わしはテクノロジーOKの人間であるから、GAFAMが邪悪だという議論にはあまり興味はないが、しかし少なくとも日本人のデータは日本のサーバーに保存すべきだと思うし、日本人のデータを使って得た利益は日本に納税すべきだと思う。最低これさえしてくれれば、あまりうるさいことは言わなくてもいいのではないかと思っている。

しかしこの本によれば、米国企業は日本にサーバーを置かなくてもいいことになっているんだそうだ。2020年に発効した「日米デジタル貿易協定」でそう決まったのだという。なんということでしょう。

それだけでなく、中国も日本にサーバーを置かなくてもいいそうだ。それはRCEP協定で、サーバーを自国に置くという規制に中国が強硬に反対して、他国もその要求を飲んだからだそうだ。これでサーバーはどの国に置いてもいいことになった。これまたなんということでしょうか。

というわけで米国も中国も日本人のデータを解析し放題なんだそうだ。あまりの政府のバカさ加減に呆れてしまうが、次の協定改定の機会(あるのか?)にぜひ変えていただきたい。GAFAMに日本の設備を使うように強制できれば、日本の利益も大きいだろう。ヨーロッパでこの問題が盛んに論じられているから、その議論が進めば、日本も慌ててその内容を導入しようとするんじゃないかな。他の国に遅れていると言われると急に対応するのが我が日本国ですからのう。

そして納税の方も、GAFAMが日本人のデータをつかって稼いだお金を日本にきちんと納税するようにしてほしい。わしの理解では、納税が不十分のように思える。(というかそもそも日本での事業の内容の開示が少なすぎる)。これもきっとヨーロッパの例が役に立つだろう。

ところで、この本では後半になるほど煽情的な書き方が多くなっている。例えば教育でデジタル教科書が普及すると、教師は生徒に教えることがなくなり、生徒の理解の進捗をチェックするだけの存在になるから問題だと糾弾している。

だが、わしにはこれがどうしていけないのか理解できなかった。先に進める生徒はどんどん進んで、できない生徒の面倒を個別に教師が見るということでいいではないか。

なにしろ、わしはテクノロジーOKの人間ですからのう。

★★★★☆

 

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