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Invent & Wander ジェフ・ベゾス collected Writings

ジェフ・ベゾス 訳・関美和 ダイヤモンド社 2021.12.7
読書日:2022.3.29

アマゾンのジェフ・ベゾスの過去の株主へのレター、寄稿文を集めたもの。

この本の3分の2くらいは、株主への過去20年ぐらいのレターとなっていて、アマゾンのそのときどきの状況や今後のことを話しているものですが、しかしとても退屈です。なぜなら、ジェフ・ベゾスの方針は起業以来一貫していて、まったく変化がなく、ずっと同じことを言っているからです。

曰く、
(1)顧客視点で考える。
(2)長期視点で考える。
(3)株価よりもキャッシュフロー
以上、みたいな。

これに付け足すならば、アマゾンはテクノロジーの会社で、発明をたくさんしている、ということぐらいでしょうか。

どちらかというと成功した話よりも、失敗したことについてベゾスがどんなことを語っているか知りたかったのですが、例えばファイフォンについてどう考えているかみたいなことですが、具体的な話はありませんでした。もしかしたら編集でカットされてしまったか、それとも本人が言うように、アマゾンはあまりにもたくさんの失敗をする会社なので、そのうちの一つに過ぎないので、大げさに語る必要もないと思っているのかもしれません。

アマゾンはたくさんのことに挑戦して、たくさん失敗するのだそうです。挑戦は2つに別れていて、一度決定すると後戻りできないものと、だめだとわかったらやめても問題のないものがあるんだそうです。たとえばプライムのような配送料無料のサービスは、一度導入したあとやめると客の信頼は失墜するので、前者のやめられない挑戦です。ほとんどの挑戦は後者のやめても問題ないものなので、ぐずぐずせずにすぐに挑戦するそうです。

前者の後戻りできないものこそ会社のトップが慎重に判断すべきものだそうです。とはいっても、その決断は分析的に行うことは不可能で(分析を行うと、必ず挑戦しないという結論になってしまい、誰もが反対する)、結局は自分の心に聞いて決断を行うということらしいです。

ちょっと面白かったのは、キャッシュフローの考え方。利益だけ考えると設備投資をして売上を伸ばしたほうがいいけれど、設備投資をした分だけキャッシュが減る。それよりは、急いで大きくなるよりもゆっくりと大きくなったほうが得だという。

あれ、アマゾンって、利益よりも投資を優先していた会社じゃなかったっけ。物流、倉庫に大々的に投資をしてたでしょう? でも実際には固定資産への投資を減らして、回転率をあげてるんだって。へー。まあ、これは2004年の株主レターなので、その後変わったのかもしれない。このころはインターネットバブルがはじけた余波が残っていたかもしれないから、生きのこりをかけて少しモードが違ったのかもしれない。

AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)を始めたとき、ほかのIT企業が7年間も追随してこなかったことはとてもラッキーだったと言っている。他のIT企業は顧客が求めているのはわかっていたが、マシンを売って儲かっていたので追随しなかったということらしいが、まあ、よくある話だよね。この前に読んだ「ジェイク・バートンの一生」でも、ジェイクは他のスキー板の製造会社がスノーボードに参入してこなかったのをすごくラッキーだったと言っている。

しかしまあ、その時々で細かい違いはあるけれど、ジェフ・ベゾスはずっと同じことをして来たという印象は変わらない。そういう意味では、スポーツ選手がいつまでも飽きずに基本の練習をずっと続けているようにも見える。サッカー選手がリフティングやドリブルの練習をずっとしているみたいな。

こういう同じ事を飽きずにができる人が成功するんだね。わしにはとてもできないなあ。きっと飽きちゃうんじゃないかなあ。

★★★☆☆

 

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