ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白いことばの世界

国立国語研究所 幻冬舎新書 2021.11.25
読書日:2022.3.9

国立国語研究所に寄せられた様々な質問に、第一線の研究者が答える本。

言語学バーリ・トゥード」がけっこうわしの琴線に触れたので、言語学もいいかと思ってこの本を手にとってみた。しかしあまり面白くなくて、眠れないどころかかなり眠くなった(苦笑)。

とはいえ、いくつかわしの心に引っ掛かった部分もあるので、そこだけ書いておくことにする。

わしはキーボード入力で困惑したことが何度もあった。正しく入力したはずなのに、思った漢字が出てこないのだ。なぜきちんと変換されないのか。

もちろん自分が思っていた読み方が間違っていたわけだが、しかし、これまでなんの疑問もなく使っていて、日常で問題なかったのに、なぜというものもあった。

たとえば、「全員」。

わしは「ゼイイン」と子供の頃から発音していて、まったくこれが正しいと信じていた。たまに「ゼーイン」と発音している人がいたら、「ばかめ。ゼイインが正しいに決まってる」と思っていた。

しかし、正解は「ゼンイン」である。もちろん。

そう入力しないと変換されないから、いまでは覚えたが、しかしいまだに「ゼンイン」と正しく発音されているのを聞いたことがない。

これは「発音のゆれ」という現象で、
・撥音(ン)が長音(ー)に変換される 店員(テーイン)、原因(ゲーイン)
などがあるそうだ。

「全員」に関しては、81%の人が「ゼーイン」と発音しているという調査結果がこの本に載っている。なるほど。正しい発音が聞かれないはずである。

他にも読み方が不思議な漢字に「女王」がある。わしはずっと「ジョウオウ」が正しいと信じていた。

だが、正解は「ジョオウ」である。もちろん。

これは日本語のリズムの問題だそうだ。

日本語は基本的に「強弱強弱」というリズムと相性がよく、「ジョオウ」のような「強強弱」のリズムは「強弱強弱」に変換されがちで、そのため弱い「ー」がついて、「ジョーオウ」となるんだそうだ。

というわけで、長年疑問だった発音の問題が少し分かったので、まあ、よかった。もっともそういう傾向があるということは分かったが、なぜかそうなるかは記載されていない。きっといつまでたってもわからないだろう。

興味深かった問題としては、言語が思考のどのくらいをカバーしているのか、という問題があった。言語が思考の範囲を完全に限定していると考える言語学者はいなくて(そうじゃないと、新しい概念や名前が発生しないことになるからね)、でも言語をまったく使わないというひとももちろんいないから、どのくらいカバーしているのかで議論になるんだそうだ。なるほどねえ。こちらも結論は出ないんじゃないかと思いますが、面白い研究結果を出していただきたいものです。

ほかに面白かったものには、明治時代に犬(ただし洋犬に限る)が「カメ」と呼ばれていたという話があった。なぜカメかというと、英語の「come、come(おいで、おいで)」がカメ、カメと聞こえたからだそうだ。カメって明治時代では犬のことだったんだ。

なぜこれが面白かったかというと、単純で、我が家では息子が小学生の時に買った「ミシシッピアカミミガメミドリガメ)」をずっとペットとして飼っているから。ものすごく巨大化して困惑しているのですが、いちおうかわいがっています。(笑)

★★★☆☆

 

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