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裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐

遠藤誉 ビジネス社 2021.4.1
読書日:2021.12.22

遠藤誉が、鄧小平がいかに陰謀にまみれた政治家であり、多数のライバルを陥れてその成果を横取りしたかを記し、習近平の父親、習仲勲(しゅうちゅうくん)もその犠牲になり、習近平はいまトップとなって鄧小平に復讐していると主張する本。

遠藤誉は中国共産党と闘うことをライフワークとしている人です。中国語の資料を読み漁って、わしらに中国の実情を教えてくれる貴重な人ですね。

この本で一番衝撃的なのは、鄧小平について言われている神話が、実はまったく彼の手柄でもなんでもないこと。鄧小平で有名なのは、深センで「黒い猫でも白い猫でもネズミを取るのがいい猫だ」という資本主義を取り入れた政策に中国を転換させた南巡講話でしょう。しかしこの南巡講話も、深センがかなり発展してからようやく訪れたもので、ぜんぜん鄧小平の仕事ではなかったらしい。

遠藤誉によると、開国政策自体は華国鋒が進めたもので、深センなどの経済特区による開発は、習近平の父の習仲勲が始めたものだそうです。習仲勲は本当に先見の明に優れた政治家だったようで、しかも人民の表現の自由を尊重し、少数民族にも融和的な人だったらしい。

こういった他の人が始めた政策がうまくいくようになると、その人物を追い落として、自分が最初から進めたような神話を作って広める、というのが鄧小平だそうです。父親の習仲勲も、深センから中央に呼び出してお飾りの地位につけたあとに、習仲勲が人々の自由な発言を認める改革を進めたため、ある日突然、失脚させたらしい。(しかも、2回目)。

父親が失脚したので、習近平は鄧小平が死ぬまで目立たないようにおとなしくしていたらしい。この辺が不思議なところで、ライバルを失脚させても、一族郎党まで皆殺しみたいなことにはなっていないんだよね。いちおう、党のルールに従って失脚させるみたいなことになっていて、その辺は、昔の皇帝の政治とは違うということでしょうか。

で、習近平がトップになってから、鄧小平に復讐していると遠藤誉はいうけれど、どうもそんなふうには見えないんだよね。どちらかというと、鄧小平の路線の歪みを直しつつ、鄧小平路線を継続しているように見える。だって父親が進めた表現の自由少数民族の融和もまったく進めていないんだから。香港の政策をとっても、父親の習仲勲は香港の法的な独自性を認める方向だったのに、息子の習近平は結局それを叩き潰していますからね。父親の習仲勲の名誉を復活させることはしているけれど、そのくらいでは復讐と言えないでしょう。

わしの評価では、習近平は父親の路線を捨てて、父親を追い落とした鄧小平にその手法を学んだ、という感じです。

最悪じゃん。

それにしても、中国共産党の歴史を読んでいると、陰鬱な気分になりますね。本当に血みどろっていった感じ。こんなふうにほぼ陰謀で政治が決まっていくだなんて。

どの国でも、政治は人間関係が絡んでくるのはしょうがないですが、ここまでライバルを追い落とすことばかりやっているだなんて、どうなんですかね。こういうやり方しか知らないとすると、中国に未来はあんまり感じられないなあ。中国が外交下手なのは、こういうやり方しか知らないからなんじゃないですかねえ。

★★★★☆

 

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