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ぜんぶ、すてれば

中野善壽(なかのよしひさ) ディスカヴァー・トゥエンティワン  2020.4.20
読書日:2021.12.10

元・寺田倉庫CEOで新しい倉庫業スタイルを築き、天王洲アイルを一変させた功労者である中野善壽の人生観、ビジネス感を短い言葉で述べた本。

アジアの富裕層向けの新しい倉庫業を開拓した中野のことは聞いたことがあったが、こんな独特な人だとは知らなかった。

ともかく執着心がない人らしく、何も持たずに全部捨てればいいという。家も車もいらないと。ものだけではなく、立場にも執着せずに、会社もすぐに辞めるし、社長になっても自分の役目は終わったと思えば社長も辞める。

面白いのは、辞めてもなんの伝手もなく、その場で知り合った人とすぐに次のビジネスが始まってしまうこと。どこに行っても一から立ち上げるのだが、それが苦にならないのだ。

一番面白かったのは、鈴屋の社長を辞めたあと、台湾に暮らすようになった経緯。

誰も知らないところで暮らしたいということでシンガポールへ行こうと思って、途中の台湾に寄ったら、なぜかそのまま経営塾の先生みたいなことをやるはめになり、それが評判になってそのまま台湾にいつくことになってしまったそうだ。まあ、わしも住むならシンガポールよりも台湾のほうがいいかな。

ともかく、社長の仕事は1秒でも早く決断をすることだそうで、いつも即決なんだそうだ。そんなわけだから、全権を得る条件でないと引き受けないという。

寺田倉庫のロゴマークも即決だったというが、ネットで確認した寺田倉庫のロゴは確かに面白い。

スティーブ・ジョブズのように、今日にこだわる。明日はないかもしれないから、今日が全てだそうです。これが何より伝えたいことなのだそうですけど、わしはこの感覚にはいつも違和感を感じるんだな。

わしは逆に、時間は永遠にある、と考えるほうが好きです。もちろん、明日死ぬかもしれないけど、それでも時間はたっぷりあると思って物事を決めるのが好きです。そして先延ばしもオーケー。

だってさ、今日に限ると、できることも限られてしまうような気がしない? できれば数百年のスパンで物事を考えたいな。

まあ、数学の無限の話と一緒で、今という瞬間の時間と無限の時間は結局同じなのかもしれませんけどね。

こんな人なので結婚していないのかと思ったら、息子がふたりいて、ちゃんと家庭を持ってるんだとびっくり。妻とはどんなふうにコミュニケーション取っているのか謎です。

★★★☆☆

参考
 
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