許成準(ホ・ソンジュン) すばる舎 2019.4.25
読書日:2021.10.21
小さな習慣の積み重ねで人生は大きな差が開くと主張し、偉人たちの習慣を紹介しているが、実際にはそういうくくりで作った小ネタ集。
わしはこういう小ネタやちょっといい一言の本が苦手なのだが(あまり意味がないように思えるので)、これは面白く読めた。
ライフハックなんて言ってるが、この本で書かれていることを真似ても自分の人生に役に立つとはとても思えないものばかりだ。しかし有名な人の意外な側面を紹介して、飽きさせずに読み続けさせるという点ではよくできている。
例えばスティーブ・ジョブズの習慣。誰もが思い浮かべる彼の習慣は、毎朝彼が鏡の前で「今日が最期の日なら、私はこれからしようとしている仕事をするだろうか」と自問するというものだろう。
しかしホ・ソンジュンはそれはジョブズの本質ではないといい、彼の本質はすぐ泣くことだという。ジョブスは感情的になると常に泣いていたという。怒ったときも感動したときも泣いたというのだ。
そしてホ・ソンジュンは、これはジョブズが感受性豊かな人間であることを表していて、感動できない人がすごいことをやってのけるとは思えない、と結ぶ。
なるほどなあと思うが、じゃあ泣けばいいのかと言うとぜんぜんそんなことはないだろう。泣いたって人生にそんなに役に立つとは思えない。関係ないじゃん。
ただ誰もが考えるところと少しずらしているので、一瞬、面白く感じる。こういう意外な部分を表現されるとなかなか読み続けられるのだ。
中身はいちおう5つのテーマに分けれているが、なんかどうとでも分けられそうだ。ジョブズの話はアイディアが湧くライフハックに入っているが、アイディアと関係あるのか、これ?
しかも小さな習慣じゃないものも多い。青色LEDで有名な中村修二のハックは、機械は買ったままじゃなく自分で改造して使う、って小さいどころか何年もかかる話なんですけど。ゲーデルの、刺激的な友を持つ、ってこれって習慣なの?
取り上げられている88人(本当?)は、映画監督やミュージシャンなどアーティスト系が多い。なんかこれらの小ネタは最初から知っていたように思われる。
アーティスト以外の偉人でも、ぱらぱら伝記をめくって、オッと思ったところを書いているだけのようにも見える。
きっと制作にそんなに時間はかからなかっただろう。そういう意味でも感心した。
ホ・ソンジュン本人に興味を持ったが、韓国人で韓国のいい大学を出て、日本語で50冊ぐらい本を書いている人らしいが、なんかへーと思っちゃうね。ちょっと不思議。
★★★☆☆