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トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ

ジェイソン・ファン 訳・多賀谷正子 サンマーク出版 2019.1.20
読書日:2021.4.2

糖尿病を専門とするトロントの医者がインスリンの働きを熟知した結果、太るのはインスリンのせいであり、インスリンの効果を考えないダイエット法は意味がないと主張する本。

著者には専門の糖尿病の本も書いているが、その知見を生かしたダイエット法を説いたこっちが先に翻訳された。まあ、需要の大きさからみて、仕方がないことでしょう。

でも糖尿病もダイエットも基本は一緒で、どっちの本も同じことが書いてあるようです。つまりいかにインスリンを制御するかという内容です。

インスリンは糖分を脂肪に変えて脂肪細胞に蓄えさせる働きをします。この結果、血糖値が下がり、体重が増えるのだといいます。血糖値が高いとインスリン濃度が高くなり、より多くの糖分が脂肪に変わります。インスリンの濃度が高いと太りやすくなるわけで、インスリン濃度を下げることが必要だそうです。

インスリンの糖分を脂肪に変える機能が太る原因だとすると、ダイエットには糖分をとらない、つまり炭水化物をとらないことが最も効果的だといいます。つまり、ローカーボダイエット、というわけです。

しかしローカーボダイエットがいかに効果的だとしても、しだいに効果が薄れ、いつしかリバウンドが始まるといいます。これは体重のコントロールをしているのが脳の視床下部なのですが、体重が増えた状態が続くとそれが正常な状態だと設定され、その状態を保とうとするからだそうです。

つまりダイエットに成功して体重が減ると、身体は逆に体重を増やそうとします。具体的には、基礎代謝量を減らすことで、消費カロリーを少なくし、体重を増やします。

そういうわけで、ダイエットを本当に成功させるためには、視床下部の体重設定をリセットする必要があるのだそうです。そして視床下部のリセットには、インスリン濃度を下げる必要があるのだそうです。

ところが、これが簡単ではありません。

じつはインスリンの分泌は単純に血液の血糖値だけで決まるわけではなく、じつは胃に食料が入っただけで、それに刺激されて分泌されるもののようです。つまり、炭水化物をやめて肉だけにしても、インスリンは分泌されるのだそうです。これではリセットはできません。

なので、真のダイエットの成功のためには、何も食べない絶食(ファスティング)の期間を設けることが必要だというのが、ファンの解答なのです。たとえば一週間に一回とか、一日おきとか、いろいろなパターンがあるようです。

うーん、まあ、「断食道場」という泊まり込みで絶食するシステムも日本にあるくらいだから、それほど奇異とは思わないけど、必須だったとはかなり目からウロコかも。

ちなみに、「絶食」と「断食」の言葉の違いは、食べないのは同じなんだけど、絶食は健康のため、断食は宗教上の理由のため、という使い分けらしい。断食道場はだいたいが仏教の修行の応用だから、こっちは宗教的な断食を使うらしい。

この本では世間の常識について、いろいろ反論しています。

ダイエットに関しては、かつて長い間、脂肪を減らす低脂肪ダイエットが主流でしたが、これについて厳しく反論しています。同じように全体的にカロリーを制限するだけのダイエットにも厳しい。どちらも血糖値をあげる炭水化物をタンパク質や脂質よりも制限しないからです。(でも、何をたべても結局インスリンが出るのなら、変わらないのでは?)

糖尿病の治療にも厳しい。

太りすぎなどで後天的に起きる2型の糖尿病の場合は、要するに血糖値を下げたいわけだから、インスリンを投与します。インスリンしか血糖値を下げる化学物質がないからです。直接インスリンを注射せず、薬を処方する場合もあります。しかしこれもインスリンの分泌を促す作用なので、結局インスリンを増やしているのだそうです。しかし糖が脂肪として取り込まれると、よく知られているようにインスリン抵抗性が発生して、インスリンが効きにくくなります。すると、インスリンの濃度をさらに上げ、インスリン抵抗性をさらに加速させるという悪循環に陥ります。結局こうした対症療法的、刹那的な対応では糖尿病を完治できないといいます。なので、本書のようなダイエットが最適なんだそうです。

なるほど。

あとはインスリンに対するトリビアをいくつか。

人工甘味料を使った飲料はカロリーが入っていませんが、インスリンの分泌は砂糖とあまり変わらないらしい。なので、ファンはコカコーラゼロなどを飲むことに反対しています。かわりに緑茶を飲めといいます。

わしは、コーラが大好きだから、この指摘はつらい。でも、どうせ何を食べてもインスリンは分泌されるんだから、絶食中以外は別にコークゼロを飲んでもいいのでは。

あとコーヒーはインスリンに影響を与えないので、飲んでもいいという。そればかりか、コーヒーを飲むと健康にも良いという。もちろんブラック推奨。ミルクは少し入れるくらいなら問題ない。砂糖は当然厳禁。

ところで、わしがなぜこんな本を読もうかと思ったかというと、実はコロナ禍の在宅勤務で太ってしまい、昨年秋の健康診断で血糖値が指摘されたからだ。自分でもびっくりした。おかげでダイエットと運動をしなくてはいけなくなった。

ダイエット法は、この本を読む前だったが、ローカーボダイエットで行った。だって糖尿病という言うくらいだから糖分を減らそうと思うよね。偶然だが、正解を当てたようだ。

体重はいまのところ順調にさがり、-8Kgぐらいまで来たが、そろそろファンのいう、視床下部のリバウンドの機構が働くのかもしれない。そうなったら、絶食を検討しなくてはいけないかも。

そんなに大変そうな感じでもないから、やってみようかしら。絶食をするととんでもないスピードで減量できて、しかも予想に反して、代謝が活発化するらしい。これは生命の危機を感じて、食料を入手するためにエネルギーを投資するためなんだそうだ。

★★★★☆

 


トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ

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