マイケル ウォルフ 早川書房 2018年2月28日
読書日:2018年06月10日 14:36
(もうトランプ政権は終わってますが、なんかアップするのを忘れていたみたい。気になるので、今さらですがアップしておきます(苦笑))。
トランプ政権発足から、スティーブ・バノンが辞任するまでの一年間ぐらいのドキュメンタリー。
まず驚くのは、細部がまるでその場で見ていたかのように描かれていることで、これはよほどことがない限り、すべて真実であろうと信じてしまうような出来だ。つまり、わしは真実だと思う。
これだけ克明なのは異例のことで、著者によると、トランプ政権は混乱していたため、だれも著者に、取材を禁止することはしなかったという。そう言う担当者は決められなかったし、次々に起こる異常事態に対処するだけで、ホワイトハウスは精一杯だったらしい。しかも、誰もがリークをするという不思議な状況で、そのせいでトランプ政権は、おそらくこれまでのどの政権と比べても、オープンになっている。そのせいか、トランプ政権は、とてもわかりやすい。
メディアにあれほど史上最低の政権と言われながら、まだトランプはしっかり立っている。それには、この意図せざるオープン戦略が効果的であるように思える。つまり、だれも政権の考えを誤解する余地が非常に少ないので、過剰な期待も過少な期待も起きなくてすみ、ダメージがコントロールされているのだ。
トランプは確かに長期的な視点から政策をかんがえることはないかもしれないが、数日間で劇的に世界情勢が変化するこの世界では意外にあっているのかもしれない。それに、世界最低の北朝鮮とディールするには、ぴったりの性格だ。北朝鮮との直接対話する6月12日は、明後日だ。どうなるか、今から楽しみだ。
★★★★★
炎と怒り トランプ政権の内幕 (早川書房)