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民主主義の死に方 日本と韓国の場合

民主主義の死に方は、主にアメリカの話だったが、日本はどうなんだろうか。日本に独裁政権が生まれる余地はあるのだろうか。

ないとは言わないが、日本の場合は超越的な権力をもったひとりの独裁者というのはなかなかイメージしにくい。わしが考えるには、日本に独裁者が誕生するには2つの問題点がある。

(1)議院内閣制であること

大統領制の場合、ポピュリストの人物が選挙でいきなり権力のトップに立つということがあり得る。ペルーのフジモリがそうだ。

議員内閣制でも、多くは別に大統領がいて大統領が首相を指名する制度になっていることが多い。この場合、組閣がうまくいかないことが続くと、大統領は事態を打開するために第3者の人気のポピュリストを首相に指名することがあり得る。ドイツのヒトラー、イタリアのムッソリーニベネズエラチャベスがこのパターン。

本当の議院内閣制で独裁者になったのは、ハンガリーのオルバーンぐらいじゃないか? 

議員内閣制の場合、まずは党内で経験を積んで上に行かないとなかなかチャンスがめぐってこない。こういう交渉したり妥協したり仲間を作ったりという経験が、民主政治家としての行動パターンに刷り込まれて、なかなか独裁者が誕生しにくい状況になるのではないかという気がする。

ただしいったん首相になれば、その権力は大統領に勝るとも劣らないから、独裁者になれないわけではない。

(2)天皇の存在

日本で権力者である限りは、天皇は無視できない。独裁者であっても、天皇を排除することは難しいだろう。もちろん廃止などの強硬手段はたぶん無理。

このような超越的な存在がいると、それをどのように自分の権力構造に取り込むか問題になるが、なかなか天才的でアクロバティックな方法を使わないと難しいと思う。

天皇の場合、自分でその権力を行使するわけでなく、ただ存在するだけなのがさらに厄介だと思う。天皇をめぐって別勢力が現れる可能性があり、天皇を取り込んだ方が勝ちということになりかねない。

結局、独裁者も天皇に神経を使わざるを得ず、その対応で力はかなり削減されてしまうのではないか、という気がする。

、、、というわけで、日本では典型的な独裁者はイメージしにくいように思う。日本の場合、独裁者というよりは、なんとなくその同調圧力によりノーと言えない状況になって、国全体が一方の方向に流されてしまうといったことの方が起きやすいのではないだろうか。決断の不在というか。

この対極にあるのが韓国で、大統領制だし、いまの文大統領は独裁者の特徴を4つとも持っていると思う。そうでしょ? 違う?

日本の周りには民主主義国家と呼べる国が少ない状況なのに、独裁化が進行中の韓国の状況は困ったことです。困らない? あ、そう。(笑)

 


民主主義の死に方―二極化する政治が招く独裁への道―

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