リチャード・プレストン 日経BP社 2008年7月24日
読書日:2008年09月09日
リチャード・プレストンのホット・ゾーンを読んだとき、出だしの描写でたちまちその世界に引き込まれた。まるで見てきたかのような描写で、その本のテーマが単純明快、ストレートに提示される。
この本でも、最初の2ページで引き込まれてしまった。うますぎるとしか言いようがない。最初の2ページを2,3回読み返して、うなってしまった。シレット教授がまだ何者でもなかった若き大学生の頃の登場シーンだ。シレットは旅行中、引き寄せられるように素手でセコイアを登ってしまい、樹冠の生態系に魅せられてしまう。
木に魅せられた人間たちが、最初は孤独な試みだったのにまるで運命のように集まってしまう。そのなかでもマイケル・テイラーが印象的だ。億万長者の跡継ぎなのに、大学も中退してほとんど勘当状態。スーパーのレジ係をしながら、世界一高い木を探す。まったくのアマチュアで、何の見返りもないのに、焦燥感に駆られてつつ、誰も行かない森の奥をさ迷う。いやほんと、何かを成し遂げる人は、こんなものでしょうか。
★★★★★
世界一高い木