清水克行 講談社 2006.2.11
読書日:2016.04.11
世界でもめずらしい喧嘩両成敗という制度について述べた本。
これはけっこう面白かったです。喧嘩両成敗という考え方が世界的にも珍しいらしいのですが、それが中世の人間が激しい性格で激昂しやすく攻撃的なひとたちだったからというのが面白い。あまりに激しいので、復讐が際限なしに続くのを避けるために、受けた被害以上に仕返しをしてはいけない、というように歯止めとして機能しているというのです。あまりに激しすぎるので、全否定につながると言いますか。
なんとなく日本人は穏やかな人というイメージがあるのですが、この本を読んでいくと、それがどんどん覆されていきます。表面上は儀礼を外さないが虎視眈々と復讐の機会をうかがう陰険さというか粘着質の陰湿さを持っていたというのもわかる気がする。このメンツにこだわるというのは、いまだってそうではないでしょうか。笑われるのが嫌いというのは、今の日本人が失敗するのが大嫌いで、かえって新しいことに挑戦しないという状況とも似ていると思う。
これは私見ですが、あまりに激しすぎるので、それがいつの間にか全否定につながるというのは、わしはお金についてもいえると思う。日本人はお金のことを汚いと言い、全否定する人が多いけど、これはあまりに日本人がお金が好きで、お金を稼いでいる人のことがうらやましくてしょうがないので、かえってお金を全否定する方向に向かっているのではないかという気がしています。
日本人が想像以上に激しい民族だということは、本当に愉快なことです。
★★★★☆