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お金の減らし方

森博嗣 SBクリエイティブ株式会社 2020/4/15
読書日:2020/9/12

お金は自分にとって価値のあるものに使うべき、と主張する本。

本来は、お金の増やし方、というよくあるテーマの依頼だったそうだ。なにしろ作家として成功し、年収が億単位で、貯金も20億円あるという著者だから当然と言える。

しかしアマノジャクを自称する著者は、お金の使い方こそがその人の生き方が反映されると考え、あえて逆のテーマとした。

いまでこそ多額の所得や貯蓄を謳歌している著者だが、お金の使い方という点では所得が少なかったころから一貫しているという。つまり自分が本当に満足することのためにしか使わないのだ。

自分が満足するかどうかだけが基準なので、他人から見た評価などは全く関係ない。例えば、高級な服とか時計とかグルメとかは興味がない。

車が好きなので、ポルシェは買ったが、それは自分が満足するためだけのもので、他人は関係ないのだそうだ。

著者の趣味は、模型の工作で(その延長で車も好きなのだ)、特に模型機関車が好きなのだ。よく地域の大きな公園で客を乗せて走る小さな機関車があったりするが、あの世界だそうだ。作家になったのも、模型機関車のレールを設置する広い土地を買うための費用、1000万円を確保するためだったという。

試しに書いてみた作品がいきなり売れたので、そのまま作家となり、いまでは350冊の著作を抱えるようになったが、作品はお金を稼ぐための手段に過ぎず、依頼があるままに書いてきたという。作品に対する思い入れはほとんどないらしい。売れている作品の傾向など、最低限のマーケティングとかは一応しているみたいだが、あまり努力はしていないようだ。

真摯に文学に取り組んでいるような人は目を剥くかもしれないが、へんなこだわりがない分、作家として成功しているとも言える。

いまではもう稼ぐ必要がないので、なるべく仕事の時間を減らして、1日45分にとどめているそうだ。(それでも、月に1冊ぐらいは出しているようだ)。一方、趣味の機関車模型には時間をかけていて、掘り出し物がないかオークション巡りをしている時間ですら1日に1時間を使っており、つまりこれだけで仕事時間を上回っている。本当に趣味にしか時間を使っていないようだ。

ちなみに趣味の機関車模型でも、本を3冊出していて、順調に版を重ねているという。趣味と仕事が一致しているのはこれだけのようだ。

結局のところ、お金使い方がよくないのは、自分が何がしたいのか、何が好きなのかが分からないことが、問題なのだという。ではどうすればいいのかといういうと、著者にも名案があるわけでもなく、目を輝かせていた子供時代を思い出そう、などという。

お金の使い方はわかったが、その他のお金に関する著者の観念はどうだろうか。著者は、借金はしないのだという。それは若い頃から一貫していて、なんでもキャッシュで買ったのだそうだ。

これに関しては、個人的にはどうかな、と思う。借金はうまく使うといい場合もある、というのがわしの判断だ。著者は住宅ローンも毛嫌いしているようだが、わしはマンションを妻に買わされたとき、投資資金を残しておくために目一杯ローンを組んだ。その後、順調に資産は増えたので、わしは満足だ。あのとき、投資資金を残しておいて本当に良かった。

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わしの場合は単なる住宅ローンだが、ビジネスを行っていると、借金をうまく使って、業態を拡大させるということも必要になってくると思う。したがって、借金を無用に否定するのはどうかな、と個人的には思う。

それから、お金を増やすのなら、自分に投資するほうがいいという。例えば、著者は作家を始めるときに、9万円の椅子を買ったという。この9万円は何億倍にもなったのだから効果が高いという。

この発想は理解できる。しかも、そんなに費用がかからないことが多いとわしも思う。例えば本を読むことは投資効果が大きいと思うが、買ってもせいぜい1冊数千円だし、図書館を利用すれば、もっと安上がりだ。

ともかく、仕事が忙しくて自分の好きなことをしている時間はありません、というのではなく、好きなことをするために仕事をする、という著者の主張には強く納得できるものです。

ちなみに、著作権を遺産に残せるというのは非常にいいなあ、と思う。何しろ、死後50年間、子孫に財産を残せるのだから。下手をすると、ひ孫まで恩恵にあずかれるかもしれないね。

また、著者はあまりにお金が多すぎるので、預金は決済専門の当座預金にしてきるという。そうすると、預金保険の1000万円の限界から逃れられるという。なるほど、そうすればいいんだ。

★★★★★

 


お金の減らし方 (SB新書)

 

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