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個人投資家目線の読書録

異端のすすめ 強みを武器にする生き方

橋下徹 SBクリエイティブ 2020.2.10
読書日:2020.8.1

大阪維新の会をはじめ、数々の改革を成し遂げた異端のリーダー、橋下徹が異端の生き方を勧める本。

この本にはいろんなことが書かれてあるけど、特徴的なことは第4章の「情報マニアになってはいけない」の章だろう。内容は題名からは想像しにくいが、持論を持て、ということだ。別の言葉で言うと、ちきりんの言うところの、自分の頭で考えよう、ということである。(この章の題名はそうとういけていないと思う)。

橋下さんによると、インターネットの時代では、ただの知識ではなんの役にも立たない、自分の意見(持論)を言えるようでなければなんの価値もないのだという。このような持論を持つことは、最初は難しいと思えても、訓練により自分の中に持論工場を持つことが可能になり、インプットと同時に持論を展開できるようになるという。

このような訓練をするようになったのは司法試験対策の結果、というのだから面白い。橋下さんによれば、司法試験というのは、正しい知識を身につけるのは半分に過ぎないという。残りの半分は、論理的な展開力が必要なんだそうだ。このときに、たとえその時の判例と異なっていてもまったく問題ないという。

結局、法律というのは世の中のすべてのことを網羅しているわけではなく、法律から漏れていることもたくさんある。その漏れていることを、現状の法律の中で論理的に位置づけていくのが裁判という作業なのだという。したがって、法律家には、新しい事例が生じたときに、現在の法体系の中でどう解釈できるのかの論理展開力が問われるので、その力を見るのが司法試験の目的なんだそうだ。

したがって知識だけを求めてもしょうがなくて、逆にあまり知識を求めずに、基本的なことだけを頭に入れて、持論を展開する力の方が大切なのだ。

これを理解した橋下さんは、論理展開力に絞って訓練し、2回目の試験で合格した。さらには、毎日の新聞や読書で持論を作れる訓練を行った。そして今では、聞いただけで直ちに持論を展開できるようになったという。

橋下さんがマスコミに出るようになったのは、少年の殺人事件でラジオに別の法律家のピンチヒッターとして呼ばれたことだという。橋下さんは、少年法について持論を持っていたので、それを大阪のラジオで展開した。それが面白いということになって、テレビに出るようになり、やがて東京のテレビに進出したわけだ。

さらに、それがもとで、政治家への転進も可能になったのだから、こうした持論の持ち方が、橋下さんの人生に大きな力になったといっていい。

しっかりとした持論を持っていれば、異端とかそういうことはまったく問題とならないし、納得のできる人生を送れるのだという。

橋下さんは、世間には持論を持って行動する人は少ないという。でも、わしは。今の20代のひとと話していて、自分と比べてしっかりしているなあ、と思うことが多い。そして橋下さんの言うような持論を展開する人は少なからずいるように思える。なので、日本の未来はもっと楽観的にとらえていいんじゃないだろうか。(投資家って、未来を楽観的にとらえている人の方が多いよね)。

★★★★☆ 


異端のすすめ 強みを武器にする生き方 (SB新書)

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