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理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)

高橋 昌一郎 講談社 2008年6月17日
読書日:2010年07月27日

これを読んでいると、20世紀はいろんな限界が明らかになったんだなあということがよく分かる。しかも、それが理論的に導き出される、というのが興味深い。つまり理性が自分の限界を理性的に導き出しているわけだ。そのせいか、どの限界もどことなく構造が似ている。具体的にはパラドックスやシステムの自己言及性といったことに関係している。

そのなかにあって科学の限界である量子力学の話は異質なような気もするし、他の限界と似ているような気もするし、ちょっと判断が迷う。その理由は、他の限界が実体がないか頭の体操的な感じがするのに、量子力学だけは実験が可能だからだ。だが、おそらく、量子力学は他の限界と関係していると強く思う。

民主主義と決定が両立しない「アロウの不可能性定理」は初めて知った。驚きだ。またスマリヤンが示した「ゲーデル不完全性定理」の状態を示す具体例はあまりに簡単でこれも驚き。

なぜ人間はこのような論理の限界を証明できるのだろう。ゲーデルがいうように、人間は論理を超えた存在としか言いようが無い。論理は人間の思考の機能の一部に過ぎないということなのだろうか?

★★★★★

 


理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性 限界シリーズ (講談社現代新書)
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