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悪魔を出し抜け!

ナポレオン・ヒル 訳・田中孝顕 きこ書房 2013.11.2
読書日:2020.4.12

超有名な「思考は現実化する」(1937年)のナポレオン・ヒルがその翌年に書き上げたものだが、悪魔が直接できてくるので、評判が悪くなることをおそれた親族によって70年以上封印されていたものが、親族の死亡によりようやく出版されたものだという。

話の体裁としては、ヒル博士が悪魔に正直に話させる方法をなぜか知っており、その方法を使って悪魔にどうやって人間を堕落させるのかということを話させるというもので、「なぜこんな秘密を話せねばならんのだ」などということをいいながら、結局、悪魔は博士の誘導するままに自分の秘密を話すというものです。(苦笑)

それによると、悪魔の戦略というのは、人間を自分の頭で考えず状況に流される人間にする、というものだそうです。自分で考えない人間はどうにでも誘導することができるんだそうです。そういう意味では、なかなかヒル博士は物事の道理を分かっているなあ、と思います。きっと、「自分のアタマで考えよう」といってる、ちきりんみたいになればいいということなんでしょうかね?

でも、わしにはその悪魔の対話部分はつまんなくて、その前の悪魔と出会うまでの話の方が面白かったです。

1908年にアンドリュー・カーネギーと話したヒルは、500人以上の成功者と話をして成功法則を研究することを提案され、快諾したといいます。この本が完成するまでには25年かかるだろうとカーネギーに言われたそうですが、てっきりわしはその25年間をカーネギーが補助したんだとこれまで思ってたんですね。でも、この本によるとそうじゃなくて、ヒルは自分で生計をたてながら研究を続けねばならなかったのだそうです。えー? そんなことってあるんでしょうか?

で、その後、若きヒル博士はいろんな事業に手をだして、本人の言うには、ある程度成功したけどやめてしまうということを繰り返していたそうです。順にあげると、大学の広報部長、チェーンストア業界の会社社長、ビジネス学校創立、政府の役人、雑誌の創刊(この雑誌はいまも続いているんだそうだ)、ビジネススクールなど。ところが、これだけ何回も成功していながら(もちろん、本人の言い分が正しければですが)、1923年にはすっかり貧乏になってしまい、日々の生活の金にも事欠くようになる。と、そうなりながら、本人はいまこそカーネギーとの約束を果たす時が来たと、執筆にいそしんだとのことです。1924年には原稿は完成したのですが、またビジネススクールを買収し、本人がいうには2倍に大きくしたが、トラブル(殺人事件)に巻き込まれ、世間から隠れてしまう(1926年)。

すると、1927年の秋にもう一人の自分が現れて、博士にあれこれアドバイスをしてくれ、その通りにすると、出版する資金を得ることもできたんだそうだ。(なんなの? このもう一人の自分って??? 妄想?)

で、その後、うまくいったのかというとそういうわけでもないようで、だってそうでしょう、「思考は現実化する」の出版は1937年ですよ。すると、1927年に出した本は何なのかしら。つまりヒル博士は、「思考は現実化する」の前にも似たようなテーマで本を出版してたってことですよね? もしかしたら、この人はずっと同じネタで商売してたのじゃないかしら。ものすごくあり得る気がする。

で、1929年、持っていた土地も失い、全財産を預けていた銀行も破産して、またしてもヒル博士は一文無しになったのだそうです。ワシントンDCでポトマック川に車を止めて考えてきたときに、「悪魔」は現れて、博士と対話を始めたのだそうです。

読んでると面白いのですが、どう見ても、むちゃくちゃ怪しげじゃないですか? それに妄想というか、スピリチュアルというか、そういう部分も多分に含んでいて、しかも時間的な流れに変なところ(というか、述べられていない空白部分)が多すぎる。

どうも変なので、ウィキペディアをみると、カーネギーに会ったことも、実際の話ではない可能性が高く、500人の成功者にインタビューしたというのも怪しいらしい。そもそもそれだけで大変な労力になるから、いろんなビジネスをしながらじゃあ、無理なんじゃないですか?

でもまあ、そういう変なところは多数あるけど、言っていることにはそんなに変なところはない。引き寄せがどうした、とかいうところを除けばだけど。とくに「学校は学生に自分で考えることを教えていない」という主張は、1930年代のアメリカでもそういう批判があったんだなあと、多少共感を覚える。

でも、ナポレオン・ヒルを読んで奮起する人って、そんなにいるんですかね。わしにはどうも理解できない。自己啓発本って、わしには合わないよなあ。話盛りすぎで、あまりにも怪しすぎるよね。(そもそも名前からして怪しいし。)

★★★☆☆

 


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