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ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ

マイケル・バトニック 訳・鈴木立哉 2019.9.24
読書日:2020.3.3

投資家というのは気の小さな存在で、さらに残念なことに投資に失敗は避けられない。なので、失敗をしては、あの時買っておけばよかった、売っておけばよかった、と悩むことになる。

そんな時に、本書のような本が慰めになるのは本当のことだ。しかも投資をやったことがある人なら、実に楽しく読めるのではないだろうか。(逆に投資をしたことがない人には、全く面白くないと思う。)

マイケル・バトニックはたぶん30代の若者で、この世界に入って10年もキャリアを積んでいないようだ。しかし、たくさん投資家の勉強をしてきて、こんな本まで書くんだから、大したものだと思う。ここに出てきた失敗はほとんどすべて経験したそうだ。なるほど。

この本のいいところは、昔の人から、最近のベンチャーキャピタルの人まで網羅されていることで、とくに最近の人の話はあまりなじみがないので、大変楽しめた。昔の話でも知らないことも多かった。

例えば、作家のマーク・トウェインが小説で稼いだ金をほとんど投資に費やして、破産してしまい、講演旅行をして負債を返したというのは知らなかった。マーク・トウェインの小説を読む限りは、そして彼が発したさまざまな機知にあふれる警句を読む限りは、実に聡明な人のように思えるのに、なんとも不思議なことである。だまされた投資のほとんどは、夢のようなことが実現できるとのたまうベンチャーへの投資だったようだ。

--それが事前に予測できれば良かったのだろうが、わたしが得意なのは後になってから結果を振り返ることだ。(マーク・トウェイン

なるほど。でも振り返るならまだましかも(笑)。

最近の話ではリーマンショックでの空売り(正確にはCDS)で大儲けしたジョン・ポールソンの話が面白かった。誰が何と言おうとCDSに投資し続け、ついには大儲けをしたんだが、そうなるともっと大きなもうけを出さないといけなくなる。それで彼は金を買うことにして、誰が何と言おうと金への投資をやめないという。本の中では、金は下がっているけど、CDSでこれだけ儲ければもう十分、みたいなしめくくりだった。彼はまだ金を持っているのだろうか? もしまだ持っているのなら、いまは金はずいぶん上がっているから、大儲けをしているはずなんだが。そうすれば、彼は2度勝ったのかもしれない。

後悔先に立たず、とベンチャー・キャピタリストのクリス・サッカの話が出ている。ゴープロやドロップボックスへの投資をしなかったことを悔やんでいるが、しかしツイッターやインスタグラムやウーバーに投資してるんだから、そんなのぜんぜん問題ないじゃない。

通明な経済学者ケインズの投資についても書いてるけど、ケインズって投機に成功して、大学の資産を増やしたんじゃなかったっけ? と思ったら、最初はマクロ分析の投資をして失敗ばかりして、結局個々の企業のミクロ分析をして成功したらしい。へー。

最後に自分のことを書いているのは、大変公平でいい。いろんな失敗の末に、今の彼は、1%以上資金を減らすことがないことを誇りにしてるそうだ。

たまにはこういう話題もいいね。みんな同じだと思うと安心する。でも、学びはあんまりないかな。

★★★★☆

 


ビッグミステイク

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