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ナイルパーチの女子会

柚木麻子 文春文庫 2018.2.10
読書日:2020.1.30

(ネタばれあり。注意)

この著者を全く知らずに読みましたが、絶対女子高出身だろうと思ってたら、本当にそうだったようです。(笑)あまりにも女子間の微妙なニュアンスに詳しすぎる。

何人か主要な登場人物がいますが、事実上の主人公は商社に勤める栄利子。仕事はできてますが、女友達が全くできず、楽しそうな女子会にあこがれています。では男に好かれているのかというと、かわいいのでそれなりに近づいてくる男もいるようですが、結局長続きしません。でも、それは気にならないらしく(男はどうとでもコントロールできると踏んでいるのかも)、ともかく女友達と楽しく過ごすような生活にあこがれています。

ストーカー気質で、お気に入りの脱力系主婦ブロガーの翔子にあこがれ、彼女の行きつけの喫茶店で知り合うことに成功。自転車の後ろに乗せてもらい送ってもらうと、本当の友達になれた、と感動しますが、最初のここんところが二人の関係のピーク。その後、翔子につきまといますが、彼女が自分の思い通りの行動をしないと、彼女の弱みを握って脅迫し、友達ごっこを続行。こんなのでうまく行くはずもなく、そのことにようやく気が付いて、女子会を解散することになるというのが、あらすじですが、ところどころ栄利子の発想に驚かされます。

たとえば、派遣社員の真織の婚約者で同僚の杉本と寝てしまい、真織が怒って、罰として結婚式までに同僚の男23人全員と関係を持つようにと言うと、本当にそのミッションをこなそうとします。よく分かりませんが、ミッションを与えられると、それを完遂しようとする、不思議な性格のようです。頭はいいのですが、どこか基本的なところでバカすぎて、めまいがします。

女子会がなくなり、すべての人間関係が行き詰まるのは、4分の3ぐらいのところで、残りの4分の1はそれぞれが自分の道を探すような成り行きになります。この辺はほんわかする方向で進みますが、自分としてはさらに極端に進む方を期待していましたので、ちょっと意外。

ところで、わしは栄利子みたいな子は、会社の経営をするか、海外のバックパック一人旅ぐらいをすると、大いに成長するんじゃないかと思いながら読んでましたが、最後は本当に栄利子は自分から遠くへ行こうとするところで終わっています。こういうことを大学時代までにやっておけばよかったのに。

栄利子は商社の水産部に所属していて、彼女の仕事は、アフリカのタンザニアからナイルパーチという魚を輸入すること。外来種ビクトリア湖の生態系を変えてしまったくらい凶暴で、共食いも辞さないそうです。なので、ナイルパーチの女子会とは、仲間外れ同士が集まるけれど、共食いになってお互いに傷つけ合う女子会、ぐらいの意味でしょうか。

まあ、男で女でも友達とのポジションで悩むことはあるわけで、そういう意味では誰もが思い当たるところがあるから、なんとなく栄利子の気持ちも分かるので、身につまされる気になります。

笑ったのは、芋けんぴが杉本に刺さって血だらけになるところ。本当に芋けんぴが人に刺ささって血だらけにできるのか、気になって会社の帰りにスーパーで買ってしまいました。どうですかね。刺さりますかね?

この本、じつは会社の同僚(女性)に勧められたもの。全然期待していなかったけど、めちゃくちゃ面白かった。でも、勧められていなければ絶対に読まなかった類の本ですね。

★★★★☆

 


ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

 

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