宮本 常一 平凡社2002
読書日:2007年07月25日
民俗学者、宮本常一の「忘れられた日本人(岩波文庫)」を読んで、驚嘆した経験がある。日本人を見る確かな目がそこにはあった。
そんな宮本常一が、明治初期に東北、北海道を旅したイザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読み、そこに書かれた何気ない文章から日本人の生活、考え方、慣習などを読み解いていくわけで、これが面白くないはずがない。
思いつくままあげていくと、
・当時は何か仕事をするときにすぐに裸になる(着物を汗で汚さないため、女性も脱ぐ)
・治安が非常によく女性一人でも旅ができる。
・決められた金額以上の余分なチップなどを受け取らず、仕事に責任感が強い(ただし女中などはピンはねする。女中は食事はもらうが現金収入が他になかったため。欧米のウェイターのようなシステムだった)
・物見高くて、外国人が来ると村中、町中から仕事を放り出して宿屋に集まってくる。(逆にアイヌはまったく無関心)
・子供を大切にする。また子供は裸が多い。
・子供は親に了解をもらわないと何も受け取ろうとしない。
・蚤が蔓延している。
・三味線が異常に普及している。(手軽なライブエンターテイメントだった)。
・平野部と山間部の貧富の差が非常に大きい。
・当時から役人や会社員のホワイトカラーは仕事しない(江戸時代の武士階級の仕事の仕方から来ている)
・こじきがいない。(実際にはいるけど、何か簡単なものを売ってお金をもらっていたので、外国人にはすべての人に仕事があるように見えた)
挙げればきりがないけど、なるほど、そうか、というひざポン(死語)満載。超お勧め。
★★★★★