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個人投資家目線の読書録

スノーボール  ウォーレン・バフェット伝

アリス シュローダー 日本経済新聞出版社 2009年11月19日
読書日:2013年04月03日

オマハの賢人のたぶんもっとも詳しい伝記。

投資の興味があるとどうしてもバフェットという名前を聞かざるを得ないし、そして断片的に聞くバフェットの人生を聞くと好奇心に駆られて、もっと知りたくなる。

師匠ベンジャミン・グレアムの手法に満足できずに分かれたというが二人の関係は結局どんなふうだったのか、というところから始まって、下世話なところでは、バフェットが妻のスージーと別居していて別の女性と暮らしているがその女性を紹介したのは実はスージーだという理解不可能な三角関係まで、この本はすべて網羅してるので、ほぼすべての好奇心が満たされる。

普通の伝記作家なら、人間バフェットを語るところで精一杯だろうが、シュローダーは証券アナリスト出身なので、バフェットの投資哲学の変遷も的確に書いてある。最初はグレアム風のシケモク投資から始まって、企業をまるごと買ってそのキャッシュフローを投資にまわして資産蓄積を加速する方法に移っていくプロセスもよく分かる。

そしてバフェットのみならず、バフェットにかかわった周囲の人たちについても詳しく書いてある。そもそもこの人たちがどの人も興味深いのだ。師匠グレアム、双子とまで言われた考え方がそっくりなチャーリー・マンガー、妻のスージー、ほとんど愛人キャサリン・グラハムなどなど。現在の妻、アストリッドとの出会いも書かれてある。妻のスージーが別居するためにアストリッドにバフェットの身の回りの世話を頼んだら、アストリッドがバフェットの家に押し掛ける行動にでたのだ。バフェットがそれを受け入れて、妻公認の愛人との同居状態となった。この奇妙な状態はバフェットの信仰者に困惑を与えていたが、妻のスージーが2004年に亡くなった後、2006年にきちんと結婚し、きちんと結論を出した。

チャーリー・マンガーの言葉が的確。バフェットはもっと儲けようと思ったら可能だったが、それを抑えたという。つまりはエゴを抑え、周りと協調する人生を選んだということだ。賢人と言われるゆえんか。

バフェットは人間としての弱点をたくさんもっている。だが多くは克服できた。たとえば人前で話せなかったのが訓練により克服した。だが、何か事件があるたびにその弱さが顔をのぞかせる。しかし芯が強いので持ちこたえ、さらに人間的に大きくなる。歳をとるごとに人間として成長し魅力的になっていくのもすばらしい。

★★★★★

 


文庫・スノーボール ウォーレン・バフェット伝 (改訂新版)〈上・中・下 合本版〉

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