前田裕二 幻冬舎 2019.5
読書日:2019.11.8
SHOWROOMというライブアプリの会社を立ち上げた若き経営者が、自分の壮絶な人生を振り返りつつ、自分の思いを語る本。
前田裕二さんの恋人は石原さとみなんだそうだ。あら、そうなの?(笑)。彼女はいい役者さんだから、IT企業の社長と付き合っても仕事辞めないでね。
で、直感的には、SHOWROOM自体は失敗するんじゃないかと思ってる。どうもあまり面白い感じがしない。
もともとは中国のネットアイドルを生み出したライブアプリを見て、これだと思ったらしい。これについては、わしも、NHKのBS放送で9月に放送したドキュメンタリーを見ていた。そして、この本よりもこのNHKのドキュメンタリーのほうがはるかに面白かった。
NHKドキュメンタリー - BS1スペシャル「中国ネットアイドル~巨大市場を動かす女性たち~」 (注:すでにサイトなし)
ドキュメンタリーではワンホンと呼ばれるネットアイドルたちがライブ放送をしてお金を稼ぐ様子が描かれている。稼ぐ方法は2つで、何かを宣伝してお金を稼ぐ場合と、客からの投げ銭で稼ぐ方法がある。人にもよるだろうが、投げ銭の方が多い感じ。
一回の放送時間は数時間で、平均で4万円ぐらい稼ぐという。中国の人口は膨大だから、何万〜何十万人かのフォロアを得ると、それで生活していけるらしい。
もちろん、ライブ放送では、彼女らは自分が言いたいことではなく、相手が聞きたいことを言う。最初に出てくる地方のワンホンは、歌が得意で、よく知られている歌を歌って男たちを励ます。自分でも歌を作るが、それは歌わない。NHKのために、本当の自分はここにはいない、みたいな自作の歌を歌ってくれたが、しかし、そんな歌は客に受けないから、放送では歌わないのだ。そのへんは徹底している。
他にも、キャラクターを作ってワンホンに演じさせ、宣伝にいかに活用するかという深センの会社の話が出てきて面白かった。
それに対して、SHOWROOMでは本物のアイドルがこのアプリを使って宣伝するもので、このアプリ自体は芸能人、あるいは芸能人になりたい人たちのものだ。普通の人たちが生活の糧を得るというにはほど遠い。正直、それではつまらない。とりあえず日本一を目指すと言ってるが、最初から世界にいかないと無理なんじゃないかな。ともかく、本家の中国の動きの方が面白いんだから、これじゃあ、しょうがない。
いまのSHOWROOMでは無理かもしれないが、でも前田裕二さんが成功するのは間違いないと思う。というか、すでに成功している。圧倒的な人脈もすでに気づいており、たとえこれが失敗しても、彼に投資しようとするひとはたくさん現れるはずだ。まだ30歳ぐらいというのに、すばらしい熱量の起業家なのだ。
彼の半生を読めば、誰もがこれは敵わない思うだろう。それだけの熱量を持っているようだ。こういう人がたくさん出てくれば、日本も悪くないということになるんじゃないかな。
そして、前田さんは誰に対しても丁寧で親切なんだという。ほんと、もうこれは敵わないよね。
★★★★☆