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街場の平成論 (犀の教室)

内田樹, 小田嶋隆, 釈徹宗, 白井聡, 仲野徹, 平川克美, 平田オリザ, ブレイディみかこ, 鷲田清一 晶文社 2019年3月29日
読書日:2019年5月5日

コラムニスト小田嶋のファンなのでなんとなく読んだ本。

9人がそれぞれの立場から平成を振り返り、今後を展望するという体裁だが、面白かったのは、小田嶋と平田オリザ平川克美中野徹内田樹と5人だったので、なんとなく当たりだったのかもしれない。がっかりしたのは、白井聡、ほか3人はピンと来なかった。

それぞれの論考を批評してもいいのだけど、せっかくだから自分の平成論をここで少しのべるのも一興かと思うので、そうする。

多くの人がいうように、日本は昭和の終わりのバブルが頂点で、その後の平成は日本は落ちるばかり、という印象はあると思いますが、わしは平成という時代を高く評価する。

内田樹がいうように、昭和は最初はガチに戦争を行って負け、戦後は経済戦争という2度目の戦争を行い、また負けて、両方で負けてしまった(2度目もアメリカに潰された)ということになりました。それで平成は何をしていいのか分からなくなった、漂流した時代と言えるでしょう。国家全体が低迷したのも当然でしょう。

しかし、国ではなく個人という目で見ると、その解放度というか自由度は飛躍的に高まり、強くなったと思うしかありません。わしがどこにそれを見るかというと、特にスポーツの世界です。

スポーツはもちろん、競技している個人の闘いですが、かつてはそれは国家の威信を賭けた戦争でもありました。選手の皆さんには国を背負っているかのような、悲壮感も感じられました。

しかしながら、いま、いろんなスポーツに日本人の皆さんが挑戦し、そして大きな実績をあげているのを見ると、昭和の時代よりもはるかに軽やかさが感じられるのです。もちろん、誰もが応援してくれた人たちに感謝の念を伝え、周りの期待に応えようとしているのは分かりますが、一方、彼らは個人としてそれらをしっかり受け止めて、自分の考えを自分の言葉として表現できていると感じるのはわしだけでしょうか。

こう考えると、日本人は個人として強くなった、と思うのです。

日本という国は、方向性を失い、迷走して、いったん落ちるところまで落ちたのです。国全体として、これはまずい、というところまで来てしまいました。何をやたらいいか分からないけど、ともかく何かしなくちゃ、ともがいているうちに、なんとなく次の時代が見えてきたような、そんな薄明かりの中にいるような気がします。そして、きっと世界との繋がりの中に日本は次の立ち位置を見つけられることでしょう。

それがなにかははっきりとは言えませんが、あちこちで立ち上がっている、強くなった個人としての日本人の皆さんがそれぞれの所でブレークスルーを果たすと信じています。

そしてわしはそういうところに投資したいと思いますので、どうかわしも連れていってください(笑)。

★★★☆☆

 


街場の平成論 (犀の教室)

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