リラとわたし (ナポリの物語(1))

エレナ フェッランテ, Elena Ferrante 早川書房 2017年7月6日
読書日:2017年10月02日

なにしろ出だしが素晴らしい。

60歳になった私(エレナ)のところに、親友のリラの息子から電話がかかってくる。リラが消えたというのだ。そして、私はリラの生きていたすべての痕跡がきれいになくなっているのに気が付く。1枚の写真も残らず、リラという人間が生きていたすべての痕跡が消えた。私はリラが「消滅したい」と言っていたことを思い出す。単に家を出たいとかではなく、消滅。リラはそれを実行したのだ。そんなことはさせない、と私はペンを取る。覚えている限りのリラのことを記録に残すと誓う。こうして、子供時代からの2人の話が始まるのだ。

すべての生きていた痕跡を消し去りたいという欲求は、なにかひどく哲学的でもある。教養がなければ生まれない欲求だ。その通り、リラはものすごく頭のいい子なのだ。そしてゆるぎない自分に対する自信を持っている。

リラとエレナ。2人の住んでいるのはイタリアのナポリの貧民街だ。低所得者用の団地が2人の住まいだ。頭脳優秀な2人だが、どんなに頭がよくても、貧困が、周りの人間関係が2人に絡まってくる。ここから逃れて自由になりたいというのが2人の願いだが、簡単にはかなえられない。

2人はお互いに相手を必要としながら、憧れたり、嫉妬に駆られたり、競り合ったりしながら、成長していく。お互いに必要なのは、周りとレベルが違いすぎて、他に話し相手がいないからだ。競争はおおむねいつもリラが一歩先を行き、私エレナは何とか置いて行かれないようについていくというふうに進む。

全4巻。第1巻は2人が16歳になるまで。

★★★★★

 


リラとわたし ナポリの物語1 (早川書房)

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