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小室直樹の中国原論

1996 徳間書店 小室 直樹
読書日:2017年09月12日

1996年の本であるが、原論というだけあって、現在でもりっぱに通用する。最終章の中国経済の分析だけはさすがに役に立たないが。

まずは中国人特有の人間関係、ホウ(邦の下に巾、幇の異字体)、チンイー(情誼)、宗族について教えてくれる。これらについては三国志などの歴史物を読めば理解できるという。これにはとても納得できる。

次に中国での支配は儒教ではなく、結局は法家の考え方で行われているという。立法という考え方を世界で初めて成立させたが、その考え方は西洋とは大きく異なっているという。つまり、西洋では国民を主権者(国の絶対権力者)から守るために発達したのに対して、そういう観念がない。これについては、中国には主権という考え方が欠落していることが根本原因なのだという。

あと、所有の概念の違いについては日本人すらも中国人に近いという。

しかし、この本で一番感銘したのは、中国人は結局、歴史原論者であるという、その点です。中国は世界で最初に発明したものがたくさんあるにもかかわらず、中国から周りの文明に影響を与えたということがあまりに少ない、という。しかし、歴史だけは世界に最高のものを持っていて、中国人の最大の願いは歴史に名を残すことだという。そして中国人は、(過去に学んで次の新しいものに発展するわけではなく)同じことを延々と繰り返す。そしてそれは共産党の時代でも全く変わらず、同じことを繰り返している。結局のところ、歴史を読めば、中国と中国人のことが分かるというのです。

なるほどなあ、と感心して、三国志を読み始めましたが(横山光輝のマンガ版ですが(笑))、なぜかとても納得できます。

★★★★☆


小室直樹の中国原論

 

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