山田 泰司 日経BP社 2017年11月9日
読書日:2018年03月17日
最初の安徽省で出会った少年たちのエピソードにぐっとくる。岩の上に座って仙人のように達観した様子で遠くを見つめる少年たちと出会い、その後も関係をとぎらせずにその後を追ったものだ。
絶望するわけでもなく、楽観するわけでもなく、淡々と暮らしているように見える農民工たち。著者と関係を結んだ人たちの生きざまになぜか強く心惹かれる。農民工の中にはそれなりに成功してサバイバルした人もいるが、そうではなく落ちぶれてしまう人もいて、そちらの方がやはり気になる。
日本はどうだったのだろうか。高度成長時代に、中学を出てすぐに上京した人たち、朝ドラのひよっこの世界だが、彼らもやっぱりそれなりになった人もいれば食い詰めた人たちもいただろう。
これは激変する中国の本の一こまを切り取ったもので、これからもっともっと変わっていくだろう。著者はこの先も彼らを追いかけて、どうなったかを報告する義務があると思う。
わしはこの本を読んで、中国の人たちがとても好きになった。願わくば、彼らが皆、豊かにならんことを。
★★★★★