習近平の真意: 異形の大国を操る

長谷川慶太郎 徳間書店 2018年6月12日
読書日:2018年06月17日

長谷川慶太郎氏の衰えを知らない洞察力には驚くばかりで、ときどき氏の意見を読んでみたくなる。

最初の方に朝鮮半島の情勢について説明があり、金正恩はまったくアメリカに降伏した状態と言い、朝鮮半島は統一の方向に進むとみている。仮に統一したときは、北朝鮮へ莫大な投資が必要になるが、その金は日本が出すことになるという。ひと昔ならいざ知らず、いまでは日本よりも中国の方がお金があるんじゃないかと思ったが、氏によれば、中国はGDP4年分の4000兆円の借金(氏の試算)があり、とても金を出せないという。

これはびっくりの見解で、ほんまかいな、という感じ。これが本当なら、中国はいつ破綻してもいおかしくないことになる。どんな根拠でそんなことを言うのかと思ったが、これに関してはそれ以上の話はなく、もう少し詳しい話が聞きたいものだ。(本当に根拠があるんでしょうねえ。いちおう、つぶせないゾンビ国有企業の不振、シャドーバンキングなどの話がでるが、それらを足しても4000兆円には程遠いのでは?)。

最近、中国は南シナ海などのサンゴ礁を埋め立てて軍事要塞化しているが、軍事的にはアメリカには全く歯が立たず、心配する必要はないという。尖閣諸島も、占領する実力はまったくない、という。歴史的にも共産党の軍隊がこれまで勝利した経験はないという。いや、それどころか、歴史を振り返っても中国が周辺地域を征服してうまくいったことなどないという。この辺は全くその通りだと思うので、このような断言は心強い。

米国と中国の貿易戦争に関しては、お互いに本気ではなく、国民向けのポーズだけなので、心配はないという。もっとも本気で貿易戦争をやっても中国に勝ち目はないという。なぜなら、中国もドルで貿易をしているので、ドルを抑えているアメリカに勝てるはずがないというのだ。これは納得である。

一帯一路については、ビジネスと割り切って取りに行けばいいという。わしは一帯一路はそれなりに素晴らしい着眼点と思っているので、大いに協力すべきだと思う。

中国は国民を監視するための、グレートファイアーウォールなどの投資を行っているが、氏によればこの予算は軍事予算を上回っているという。これは驚きの話で、つまり共産党は外からの脅威ではなく内からの脅威の方をより恐れているということになる。

中国の問題として、戸籍問題があるが、習近平はこれを解決するつもりだという。そうでないと、国家が持たなくなるからだ。つまり、ITで強力に監視しながら、農民の国籍の人たちを開放して、自由にするつもりだという。しかしそうなると、ますます共産主義からのずれが大きくなり、最終的には共産党の独裁は崩壊し、中国が民主化するというのが氏の見立てだが、はたして本当にそんな日は来るのだろうか?

★★★☆☆


習近平の真意: 異形の大国を操る

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