久坂部羊 講談社 2022.4.1読書日:2023.12.21 医者で作家の久坂部羊(くさかべよう)が、人が死ぬということのリアルを教えてくれる本。 人が死ぬときに立ち会うと、医者でも最初は動揺するんだそうだ。しかし、場数を踏んでいくうちに慣れてくるという。不…
小熊英二 講談社 2019.8.1読書日:2023.12.19 デモなどの社会運動が好みという社会科学者の小熊英二が、ギリシャ時代からの哲学を振り返り、運動をして本当に社会が変わるのか、ということを述べた本。 日本の学者ってものすごく頭が良いと思う。教養や学術…
間寧 作品社 2023.6.20読書日:2023.12.19 トルコの公正発展党(AKP)のエルドアンは2002年に政権を取って以来、20年以上に渡って政権を保持しているが、なぜそれが可能だったのかについて、後光力、庇護力、言説力が優れていたからだと主張する本。…
岡野原大輔 岩波書店 2023.6.20読書日:2023.12.18 ChatGPTなど大規模言語モデルがどのような構成になっているのか、さらに大規模言語モデルの結果分かったことを分かりやすく解説した本。 ChatGPTが驚異的な文章生成能力を確保していることについてはいろい…
岸見一郎 講談社 2020.3.1読書日:2023.12.12 人は何もしなくても生きているだけで価値があり、今をありのままで生きることで幸福になれると主張する本。 生きているだけで価値があるとはどういうことだろうか。そんなこと説明できるんだろうか。 まずは赤ち…
平野啓一郎 講談社 2012.9.20読書日:2023.12.8 作家の平野啓一郎が、人間とは「個人」という分けられないひとつの人格ではなく、相手によって別の人格がたち現れる「分人」の集合体であり、こう考えることで多くの人間関係が理解でき、悩みも解決すると主張…
中山淳雄 日経BP 2023.1.30読書日:2023.12.12 エンタメ社会学者を自称する著者が、日本を席巻するコンテンツを生み出したプロデューサーたちにインタビューし、その思考回路を解明しようとした本。 著者がこんな本を書こうと思ったのは、日本のエンタメが…
堀江貴文 徳間書店 2023.6.30読書日:2023.12.3 ホリエモンが58のトピックスについて未来の輪郭を手っ取り早く示す本。 うーん。なんか意外性がない。既視感に満ち溢れている。まるでChatGPTに未来予測のトピックスを書かせて、それに少し手を加え…
「言語哲学がはじまる」を読んでいろいろ思うところがあったので、それを書いておこうと思う。 わしは哲学者でもないし、脳科学者でも機械学習のエンジニアでもないけど、両者はかぶるところもあるし、ちょっと違うところもあるようにも思った。それでその辺…
野矢茂樹 岩波新書 2023.10.20読書日:2023.11.20 19世紀末から20世紀にかけて、フレーゲ、ラッセル、ヴィトゲンシュタインらがたどった言語哲学の潮流について、著者の考えを述べた本。 言語とは不思議である。人は初めて聞いた(読んだ)文でもその内…
高野秀行 文藝春秋 2023.7.30読書日:2023.11.23 チグリス・ユーフラテス川の河口の湿地帯はメソポタミア文明が興った地域であるが、5千年の昔から現在に至るまで敗れた者や迫害された者が逃げ込む地域でもあり、辺境作家の高野秀行が中国の水滸伝になぞら…
川上和人 東京書籍 2023.9.10読書日:2023.11.18 人の手がまったく入っていない文字通り手付かずの無人島、南硫黄島での10年ごとの生物調査に赴く研究者たちの奮闘の記録。 この本に書かれているのは2007年と2017年の調査であるが、わしは2017…
篠田節子 新潮社 2023.8.20読書日:2023.11.14 (ネタバレあり。注意) 建設会社に勤めているもうすぐ50歳になる男が、インドネシアで未知の文化遺産に出会い、これを人生後半の生きがいにしようと奮闘する話。 篠田節子って名前だけ知っていたけど、どん…
一橋和義 さくら舎 2023.8.10読書日:2023.11.11 失恋の結果、ナマコの研究を始めたという著者が、ナマコの魅力を物語とコラムでつづった本。 むちゃくちゃ簡単な生物でも、生物って分からないことだらけ。なので、もちろん、ナマコも謎だらけです。 ストレ…
キム・チョヨプ 訳・カン・バンファ ユン・ジヨン早川書房 2020.12.15 (ネタバレあり。注意) 1993年生まれのキム・チョヨプが2017年の18歳のときに出した、かなり衝撃的なSF短編集。 これはもしかしたら最近読んだSF短編集の中でいちばん面…
小林武彦 講談社 2023.6.20読書日:2023.11.2 動物は死ぬ瞬間まで老いない事が多いのに、ヒトだけが老いるのは、老いることで種としてメリットの方が多かったからだと主張する本。 動物は老いないんだそうだ。たいていの動物は死ぬ直前までばりばりの現役で…
鈴木雄一郎 講談社 2019.6.1読書日:2023.10.31 私鉄の電鉄は都市と郊外とを結んで、郊外では住宅地を売り、住宅地の通勤、通学の客を運ぶことをビジネスモデルにしていると思われているが、鉄道を作った最初のビジネスモデルでは寺社を中心とした参詣と物見…
高島正憲 吉川弘文館 2023.9.1読書日:2023.10.30 賃金とは生活そのものであるから、賃金を通して過去の生活の水準や質を考えるとともに、その分析方法に種々の方法があることを伝える本。 そもそも古代の賃金をどうやって測定するのか、とか、その水準や質…
中西孝樹 講談社ビーシー 2023.7.25読書日:2023.10.25 トヨタは1000万台の車を売り上げる巨大企業であるが、EV化への事業構造転換は、過去のしがらみなく最初からEVを前提に事業を組み立てられるテスラ、BYDなどの新興企業と比べてはるかに難し…
中島精也 講談社 2023.6.19読書日:2023.10.27 グローバリゼーションの間、日本に不利だった状況が新冷戦の世の中になってすべて逆転し、日本は勝者になると主張する本。 ほんの数年前まで、わしは日本の景気が良くなるという本は好んで読んでいたものである…
五十嵐元道 中央公論社 2023.7.10読書日:2023.10.22 戦争中に死者の数を一つ一つ数えることは不可能で、とくにタグをつけている兵士たち以上に文民の犠牲者の数を数えるのは至難であるため、統計的に解析する方法が開発されて来た経緯を述べた本。 19世紀…
オラフ・ステープルドン 訳・浜口稔 国書刊行会 1990.5.20初版 2004.1.30新装版読書日:2023.10.26 (ネタバレ注意) イギリスのヒースの丘に座っていた「わたし」は、霊体となって地球を飛び出すと宇宙を飛び回り、宇宙の端から別の宇宙すら覗き込み、テレ…
シバター KADOKAWA 2022.5.26読書日:2023.10.23 YouTuberのシバターが、これまでの生い立ちと意外に堅実な人生観を披露する本。 なぜこんな本を読んだかと言うと、息子が格闘技ファンで、面白いから読んだほうがいいとわしに回してくれたか…
最近、世の中は無料、というか、おまけの読書にあふれています。ネット小説とかではなくて、ちゃんとした本です。(ちゃんとした本とは、編集や校正とか、普通の出版の手続きを踏んでいる本のこと)。 無料の読書といえば筆頭は図書館でしょう。 無料と言っ…
細馬宏通 青土社 2023.6.20読書日:2023.10.19 マンガにおける声(内言を含む)を示すフキダシについてあれこれ考察した本。 マンガは日本人のほとんどが日常読んでいるもので、フキダシについて特に思うことはなかったのですが、こうしていろいろなパターン…
現代ビジネス編 講談社現代新書 2023.5.20読書日:2023.10.17 講談社のウェブマガジン「現代ビジネス」に掲載された論考16本をまとめた本。 どれもウェブマガジンに掲載されたもので、短いものだ。深く考えるには足りないけれど、新しい視点を得られて、気…
ジョージ・ダイソン 監訳・服部桂 訳・橋本大也 早川書房 2023.5.20読書日:2023.10.7 ライプニッツの唱えたデジタルの世界が現在あふれているが、今後はアナログの世界が復権するという主張をする目論見に無理やり自分の体験を組み込んだ本。 デジタルから…
萩原佳祐 ダイヤモンド社 2023.2.28読書日:2023.10.15 痩せるために無理に糖質制限をすると筋肉が落ちてしまうので、適度に糖分を摂取しつつ、ケトン体質を目指すべきだと主張する本。 わしは血糖値が高かったため糖質制限の食事を行っているのだが、こんな…
マアザ・メンギステ 訳・粟飯原綾子 早川書房 2023.2.25読書日:2023.10.14 (ネタバレあり。注意) 1935〜41年、イタリアがエチオピアに侵攻したとき、祖国防衛に立ち上がった女性兵士たちの物語。 内容はフィクションだが、女性兵士がいたことは事実…
新谷大輔 講談社現代新書 2019.9.1読書日:2023.10.11 近代の歴史を、ロック的なもの(自由)とルソー的なもの(平等)で読み解けば理解ができ、どちらにもとらわれない資本主義の次の時代も見えてくると主張する本。 本の中でも述べられているが、この2つ…