ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

2020-01-01から1年間の記事一覧

椿井文書 -日本最大級の偽文書

馬部隆弘 中公新書 2020/3/25読書日:2020/9/22 日本最大級の偽文書である椿井(つばい)文書について研究し、解説した本。 18~19世紀の近江に、椿井正隆という人物がいて、自分に都合の良い偽書を大量に作成し(あまりにも多いので工房があったのでは…

女と男 なぜわかりあえないのか

橘玲 文春新書 2020.6.20読書日:2020.9.12 橘玲が女と男について進化心理学の立場から身も蓋もないことを語る本。 橘玲はこれまでも進化心理学をネタに身も蓋もないことを語ってきたが、今回は女と男についてであり、たぶん進化心理学としては最も興味深い…

お金の減らし方

森博嗣 SBクリエイティブ株式会社 2020/4/15読書日:2020/9/12 お金は自分にとって価値のあるものに使うべき、と主張する本。 本来は、お金の増やし方、というよくあるテーマの依頼だったそうだ。なにしろ作家として成功し、年収が億単位で、貯金も20億…

三体Ⅱ 黒暗森林

劉慈欣(リウ・ツーシン) 訳・大森望、立原透耶、上原かおり、泊功 早川書房 2020.6.25読書日:2020.9.9 (ネタバレあり。注意) 大ヒット中華SFの第2部である。第1部のレビューは下記に書きました。 www.hetareyan.com 第1部では大迫力ではあるものの…

トランプに学ぶ 現状打破の鉄則

橋下徹 プレジデント社 2019.8.11読書日:2020.9.3 橋下徹がトランプにかこつけて持論を展開する本。トランプを出しにしていますが、ほぼほぼ自分のやったことを述べている本です。 特に前半がひどい。自分のことを非難する学者などをコテンパンにこき下ろす…

 0秒で動け

伊藤洋一 SBクリエイティブ株式会社 2019.8.29読書日:2020.9.1 すぐに動くということは、未熟な状態でもいいから仮説をたて、それに基づいて結論をすぐに出し、行動することだ、と主張する本。 まあ、なんといいましょうか、これを読んで、これはいったい…

LOONSHOT<ルーンショット> クレージーを最高のイノベーションにする

サフィ・バーコール 訳・三木俊哉 解説・米倉誠一郎 日経BP 2020.1.27読書日:2020.9.3 一見ばかげたアイディアであるルーンショットは少数の自由なアーティストから生まれるが、それを実用化、製品化するのは規律のある大多数のソルジャーたちによってな…

沖縄から貧困がなくならない本当の理由

樋口耕太郎 光文社新書 2020.6.30読書日:2020.8.31 沖縄から本当に貧困がなくならない理由は、日本の社会の悪いところが最も濃密につまったところだからと主張する本。 日本は同調圧力の高い社会だと思っていたが、その中でもとびきりに高い地域は沖縄らし…

世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見るか

マルクス・ガブリエル 訳・大野和基 PHP新書 2020.2.28読書日:2020.8.28 「なぜ世界は存在しないのか」「「私」は脳ではない」のマルクス・ガブリエルが自分の哲学がリアルな世界の危機とどう関係してかを語った本。なお、世界史が巻き戻るとき、という…

アクセスランキング@2020.9.5

皆様、いつもブログを読んでくださりありがとうございます。 2018年11月に開設以来、245本の記事を投稿しました。ほとんどは、読んだ本のまとめ、感想の類です。 じつは当ブログに定期的に来られる方はわずかでして、95%の方は検索サイトを通し…

第五の季節

N・H・ジェミシン 訳・小野田和子 東京創元社 2020.6.2読書日:2020.8.26 (ネタばれあり。注意) シリーズ三作がヒューゴー賞を三年連続で取ったという、鳴り物入りのSFファンタジーの1作目。(最近こういうのが多いな、三体とか)。 何しろ聞いたこと…

敗者のゲーム 金融危機を超えて<原著第5版>

チャールズ・エリス 日本経済新聞出版社 2011年2月25日読書日:2013年09月30日 投資にはインデックスファンド、ETFが最適であることを主張する本。 「敗者のゲーム」とはものすごくいいネーミングだ。これだけでこの本のコンセプトを完全に表している。 …

われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか 進化心理学で読み解く人類の驚くべき戦略

ウィリアム・フォン・ヒッペル 濱野大道 ハーパーコリンズ・ジャパン 2019.10.19読書日:2020.8.14 森からサバンナへの気候変動に直面した人類は、社会的認知能力(社会脳)を向上させ、社会的跳躍(ソーシャル・リープ)を成し遂げ、その影響は現代人にもあ…

貧農史観を見直す

佐藤常雄 大石慎三郎 講談社現代新書 1995.8.20読書日:2020.8.12 時代劇などに出てくる貧しい農民の姿は事実ではなく、日本の農民の生活は豊かだったと実証する本。 どこかでこの本のことを知り、読まなくてはいけないリストに入っていましたが、夏休みにな…

勝率2割の仕事論 ヒットは「臆病」から生まれる

岡康道 光文社 2016.6.20読書日:2020.8.8 非常に悲しい知らせだ。この本の著者、岡康道が亡くなったというのだ。 わしがこの本を買ったのは、アマゾンがキンドルで半額セールをしていたからだ。(わしは基本的に電子図書しか買わない)。買ったその日、7月…

2050年のメディア

下山進 文藝春秋 2019.10.25読書日:2020.8.7 1990年代にインターネットが一般的になってから、いかにネットが既存のメディアを侵食し、新聞が衰退していったのかを、関わった人の動きを具体的に取材して検証した本。題名とは異なって、未来を語る本では…

10万年の世界経済史

グレゴリー・クラーク 日経BP社 2009年4月23日読書日:2009年09月02日 題名がいい。確かに新石器時代からの10万年を視野に入れていないこともないが、この本は基本的には産業革命の謎について迫っている。新石器時代からずっと一人当たりの所得が増えなか…

異端のすすめ 強みを武器にする生き方

橋下徹 SBクリエイティブ 2020.2.10読書日:2020.8.1 大阪維新の会をはじめ、数々の改革を成し遂げた異端のリーダー、橋下徹が異端の生き方を勧める本。 この本にはいろんなことが書かれてあるけど、特徴的なことは第4章の「情報マニアになってはいけない…

時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」

吉田伸夫 講談社ブルーバックス 2020.1.20読書日:2020.7.30 物理学が分かっている限りの範囲で時間について語る本。 確かに、どこから来て(ビックバンから時間は始まる)、なぜ流れるのか(エントロピーの法則の結果)はきちんと書かれているし、意識もな…

全裸監督 村西とおる伝

本橋信弘 太田出版 2016.10.27読書日:2020.7.26 AVのレジェンド、村西とおるの多分一番詳しい評伝。ネットフリックスで山田孝之の全裸監督を見て、爆笑。で、本書を手に取った次第。 本書の中でも述べられているが、村西とおるはあらゆる面で過剰。一番目…

年収1億円超の起業家・投資家・自由業そしてサラリーマンが大切にしている習慣 ”億超えマインド”で人生は劇的に変わる!

黒坂岳央 大和出版 2019.4.30読書日:2020.7.23 富裕層の億越えマインドを身に着けて、自らも富裕層の仲間入りをした著者が、誰でも年収1億円を達成できると主張する本。 まあ、ときどきこういう類の本を本を読むわけですが、どの本も概ね同じことを言って…

石光真清の手記

石光 真清, 石光 真人 中央公論社 1988読書日:2010年01月25日 あるサイトで石光真清のことを知り、図書館で手記を取り寄せたら、その分厚さに卒倒した。何しろ、1200ページぐらいあるのだ。文庫版で4分冊のものもあるので、そちらにすればよかったか。…

カラスは飼えるか

松原始 新潮社 2020.3.20読書日 2020.7.20 カラスを巡るエッセイ。いちおうどの話もカラスを絡めているが、カラス自体の話は半分ぐらいで、学生時代のサルのフィールドワークの話まで入っている。 肝心の「カラスは飼えるか」という題名は、ウェブ連載時に一…

僕の人生には事件が起きない

岩井勇気 新潮社 2019.9.25読書日:2020.7.8 (ネタバレあり。注意) 芸人、ハライチのボケ担当の岩井勇気が、なにしろ事件が起きないので、日常に起こる些細なことを針小棒大に語るエッセイ。 事件が起きないというのは、バラエティ番組で、昔の苦労話をせ…

起業には基本形があるらしい

最近、「しょぼい喫茶店」が閉店したことを知りました。閉店したのは今年の2月のことだけど、昨年の11月末には店を休業して実質的に閉店状態になったそうなので、新型コロナの影響というわけではありません。 しょぼい喫茶店を知ったのは、えらいてんちょ…

カウフマン、生命と宇宙を語る

スチュアート カウフマン, Stuart A. Kauffman, 河野 至恩 日本経済新聞社 2002年9月読書日:2009年03月18日 非常に興味深いが、ちょっと残念でもある書。残念なのは、私が最も知りたかったことが、カウフマンにも分からなかったこと。せめて取っ掛かりぐら…

「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学

マルクス・ガブリエル 訳・姫田多佳子 講談社 2019.9.10読書日:2020.7.14 「なぜ世界は存在しないのか」のマルクス・ガブリエルが、人間の精神は脳という物質に依存せず、徹底的に自由であると主張する本。 「なぜ世界は存在しないのか」では、世界自体は存…

大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清

松元 崇 中央公論新社 2009年1月読書日:2009年05月06日 09:29 松元崇氏は現役の財務省系官僚の大物で、内容のほとんどは財務省の発行している雑誌「ファイナンス」で連載した内容。そうすると読者は財務省官僚という事になるから、一般人が読むことを想定し…

有限の中の無限 素数が作る有限体の不思議

西来路文朗 清水健一 講談社ブルーバックス B-2137 2020.5.20読書日:2020.7.8 0,1,2と進んで、次が0に戻るような数字の体系のことを有限体というらしい。例えばカレンダーの曜日は7日ごとにぐるぐる回るから有限体と関係がある。時計もそうだ。この…

ラディカルマーケット 脱・私有財産の世紀

エリック・A・ポズナー E・グレン・ワイル 安田洋祐(監訳) 遠藤真美(訳)東洋経済新報社 2020.1.2読書日:2020.7.1 富の偏在、民主主義の危機、移民の問題など、今日世界を覆ってる問題は、私有財産、社会の意思決定方法などをもう一度根本から考え直す…

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