ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

大富豪の投資術

マーク・モーガン・フォード ダイレクト出版 2017
読書日:2019年6月9日

パームビーチグループという資産管理をアドバイスする会社が、「いまなら5000円相当の本が無料で当たる」(実際は配送料が取られるらしい)とネット上で盛んに宣伝している本。

あんまり表示されるので、読んでみたくなったが、無料でもらうとパームビーチグループからジャンクメールがたくさん来そうなので、アマゾンで新品を1800円で買った。

内容的にはとてもよいと思う。著者はマイケル・マスターソンというペンネームでも有名な人だそうで、資産数百億円の富豪らしい。しかもとても正直に本音を書いていると思う。

まず、株などの投資で大金持ちになることは諦めろと言い(とほほ)、もっとも確実なのはスモールビジネスを起こすことだという(やっぱり!)。しかも起業にあたっては、リスクをほとんど取らないことを重視し(失敗してもよいぐらいのリスクしかとらない)、スモールどころかマイクロビジネスを起こして、それをいくつも持てという。マークさんのお気に入りのビジネスは、不動産投資である。それから意外にも、製造業が良いらしい。

このスモールビジネスを起こすことが富豪への近道という話は、本当の富豪と言われる人の本からさんざん聞いた話である。こういうのを読むと、やはり起業しなくてはいけないのか、と思ってしまう。

この本のいいところは、それ以前のどうやって収入を増やすか、あるいは元金を作るかというところも述べてあり、親切だ。

勤め人なら、まず自分の価値をあげて、給与を上げろという。そして単に給与を上げるのではなく、事業を提案し、その事業から得られる収益から特定のパーセンテージを受け取れるように交渉しろという。そのためには、もちろん大企業ではだめで、小さくて伸びる分野の事業を行っている会社に、最初から選んで入らなくてはいけないという。(なので、すでにわしは論外)。

元金を作るために、小さな家に引っ越して家賃を減らし、さらに車も中古の実用的なものを買えという。できれば、勤め先に近いところに住めという。そして固定費を減らして、(例えば、携帯電話やビデオケーブルを止めるか安いプランに切り替えるとか)、貯金する。これなんかは、本田静六の「月給の4分の1は天引きする」というプランに近い。

資産ができたらできたで、どうやって守ればいいか、引退するだけの資産ができても能動的にお金を得る(働くこと)ことを止めてはいけないとか、さまざまなステージでのアドバイスが得られるようになっています。(もちろんパームビーチグループの助言に従うことが最も良いという結論にはなりますが。)

わしは読み終わったら、市の図書館に寄付して、他の人が無料で読めるようにしようと思う。そうすれば、パームビーチグループの宣伝に心が引かれた人はいつでも読めるからね。(少なくともわしの住んでいる地域のひとはだけど)。

なんかこれだけ言われると、スモールビジネスもやってみたくなる。なにかリスクが極限に限られたスモールビジネスのアイディアはないかしら? できればさほど労力のかからないもの。

★★★★☆

 


大富豪の投資術

お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書)

ジム・ロジャーズ PHP研究所 2019年1月17日
読書日:2019年6月8日

国際的に有名な投資家ジム・ロジャーズは、今後に期待できる国として、北朝鮮を挙げる。理由は、もしも北朝鮮が開国して韓国と統合したら、統合朝鮮はとんでもなく発展する可能性があるからという。

これには誰も異論は唱えないだろう。北朝鮮金正恩とトップ会談した米大統領のトランプも、「北朝鮮には経済発展のポテンシャルがある」と言ってたくらいだから。

単に問題は、いつ、どんなふうに開国するか、という点だけである。ジム・ロジャーズは、もうすぐにでも開国すると思ってるらしいけど、そんな確信を持てるのは彼だけである。

それに彼にしても、そんなにリスクは負っていないのである。彼が掛けているのは、大韓航空とか普通に投資してもおかしくない銘柄で、何か問題が起きたらすぐに売却すればいいだけのことだから。一方で、もしも思惑通りのことが起きたら、大儲けができる。

こういう、負けても大したリスクがなく、勝てば大儲けという、非対称な状況に投資するのがジム・ロジャーズの真骨頂なのだろう。

わしは、韓国経済の近未来に不安があるから、この賭けには乗らないが、韓国経済が外貨不足に陥って、もう一度IMF崩壊するとか、そういう状況になったら、ぜひ賭けに乗りたい。単に安く買いたいというだけですが。

ちなみに北朝鮮が魅力的という話は周期的に出てくる話で、90年代にも北朝鮮が問題を起こした時には、北朝鮮の外債に魅力ありという話が出ていた。みな、北朝鮮に不安を持って、外債が暴落していたのだ。その後、北朝鮮がデフォルトしたという話は聞かないから、北朝鮮は外貨をかき集めて返済したのではないかと思う。きっと投資した人は大儲けしただろう。この外債は日本では買えなかった。たぶんロンドン辺りで買えたのではないかと思う。

ジム・ロジャーズは日本の将来に悲観的である。

わしもあまり楽観はしていないが、個別株には日本の状況と関係なく成長する銘柄があると思ってるので、そういうところに投資すればいいのでは、と勝手に思ってる。例えば、自動車がEVになると、電池とモーターが儲かることは確実。電池メーカーはどこが勝つかさっぱり読めないけど、モーターは日本電産がかなりシェアを取ることはほぼ確実じゃない?

そういうわけで、日本の将来は知らないが、日本電産には楽観的である。

農業を押しているけど、もし農業に注目するなら、わしなら村上農園みたいな、工場生産的な所なら投資したいけど、村上農園は上場していないからね。

まあ、ジム・ロジャーズは、自分でも言ってるように、だめだと思ったらすぐに前言撤回します。でもその撤回の言葉は、たぶんわしらには届かないので、彼は逃げられても、わしらは逃げられないので、ご注意ください。

★★★☆☆


お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する (PHP新書)

マネーの魔術史 :支配者はなぜ「金融緩和」に魅せられるのか (新潮選書)

野口悠紀雄 新潮社 2019年5月22日
読書日:2019年6月5日


野口悠紀雄は信頼できる経済学者の一人だ。彼はどんな議論でもできる限り1次資料にあたり、自分の頭を使った議論を展開するからだ。こういう人はありがたい限りである。

今回のこの本の執筆動機は、もちろん日銀の異次元金融緩和にある。異次元金融緩和については、これまでの著作でも触れられていたが(もちろん批判的)、今回は歴史に目を向けたところが特徴がある。

金融緩和は現代に始まったわけではなく、歴史上、常につきまとった問題だ。国家がなにか事業を行うと、その財源をどのように手当するかというマネーの問題が発生する。特に戦争という事業は莫大なマネーが必要になり、そのファイナンスは大問題となる。

民間企業なら銀行や社債で借金を積むしかないが、国家の場合は民間企業にできないことができる。つまり通貨の発行だ。通貨の発行を野口氏は「マネーの魔術」と呼ぶ。

歴史を見れば分かるように、マネーの発行は国家に限るものではない。この本でも民間銀行が通貨を発行していた時代のことに触れているが、まあ、参考程度でいいだろう。現代では、国家以外が通貨を発行する状況は、ほとんど無視していい。

で、通貨の発行というマネーの魔術を駆使すると、インフレが生じ破綻するというのがお決まりの展開だが、うまくファイナンスができる場合もあり、けっこういろいろなパターンがある。

例えば、ナポレオン戦争当時のイギリスはGDPの2倍以上の国債を発行した。この結果、60%のインフレが起きているが、戦争が終わると物価は下落し、結局もとに戻っているという。発行した国債は償還期限のないものだったから、国債の発行残高(=通貨の発行残高)は高いままだったはずである。なのに、物価は下がっているのである。

なぜそうなったかについては野口さんは答えていない。ただ、インフレによってイギリス国民はインフレ税を収奪されたが、フランスの略奪に依存したファイナンスよりは持続可能だったと答えるのみである。ともかくインフレ状態は国民には辛いかもしれないが、持続可能らしい。

有名なドイツのハイパーインフレについても述べられているが、野口さんの説明を読んでいると、そもそもこのインフレは防ぐことができたのではないかという気になる。中央銀行の総裁がバカだっただけで。

さて、このように歴史を振り返って、いまの日銀の金融緩和について、野口さんはどうまとめているのであろうか。

国が発行した国債を日銀は民間銀行から買い集めて、事実上の日銀引受状態になっている。国債は日銀当座預金に変わり、日銀当座預金は銀行がいつでも引き出せるので、常に日銀銀行券に変わりうる。

日銀銀行券に変わった時点で、通貨(マネーストック)が増えるのでインフレが発生するという。いまはマネーが増えていないので、インフレになっていないだけである。国債が償還期限があるのに対して、日銀当座預金は瞬時に通貨が増える可能性があるわけだ。

しかし、このように批判するのはどうも変である。だって日銀はそのようにして、いまインフレをなんとか起こそうとしているのである。インフレが起こっていないのが問題なのに、インフレになるからだめというのは変である。

結局、インフレが起こるのは間違いないとして、それが目標の2%に収まると考えるか、それ以上になってコントロールができないと考えるかの違いにしかならない。

超高齢化に対応しようとして、財政が破綻するのはほぼ確実だと野口さんはいう。結局、ここに尽きる。社会福祉で破綻が確実だと信じるかどうかである。破綻すると信じるなら、ハイパーインフレが発生し、ファイナンスがなんとか可能ならそれは起こらない、ということだ。

もちろん、超高齢化社会に対するファイナンスの見通しは立っていない。しかし、わしは「確実に破綻する」と単純に決めつけるのは、どうも思考停止に思えてならない。

この辺の議論はきっと野口さんのこれまでの本でなされているだろうから、機会を見て、読んでみたい。どうも納得がいかないので。

金融緩和だけで、日本が立ち直ることはないというのはその通りだと思う。なにか創造的なものが必要だ。これだけは政府や日銀がコントロールできるものではないので、創造的な傾向を助長するようなことをするしかない。その意味でも日銀のいまの政策は、あった方がいいと思う。

★★★★☆


マネーの魔術史 :支配者はなぜ「金融緩和」に魅せられるのか (新潮選書)

マイ遺品セレクション

みうらじゅん 文藝春秋 2019年2月7日
読書日:2019年6月1日

みうらじゅん産経新聞で連載している自分の奇妙なコレクションを紹介するコラムを書籍化したもの。

何でこんなものを集めているんだという内容が56項目並んでいる。そのほとんどの物に首を傾げて、半分ぐらいはやや笑いの反応で、いくつかは大爆笑。

たぶん、ほとんどの人はそういう経過をたどるんじゃないかと思う。で、爆笑するところは人によって違うのか違わないのか、そこのところが気になるが、確かめようがないのがちょっと残念。(たぶん人によって爆笑ポイントは違うんだろうな、とは思う)

わしは、SINCEのところで、新しすぎるSINCEを「最新す」と呼ぶことにしたとか、ウシグッズ、きぼりん、などで爆笑しました。

連載はいまも続いているそうです。

★★★☆☆

 


マイ遺品セレクション (文春e-book)

ファーウェイは生き残れるのか

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アメリカ政府がアメリカ製品の輸出規制のリストにファーウェイを加えた、というニュースが2019年5月15日に伝えられた。

わしからみて、ファーウェイって、中国の企業のなかでは共産党にあまり頼らず頑張ってきた(というか冷遇されてきた)企業というイメージがある。したがって、どちらかというと好印象なのだ。

だが今や、押しも押されぬ中国ハイテクのトップ企業だ。米中の覇権争いの中ではどうしてもつぶさなくてはいけない企業の筆頭に上がってしまうのは、仕方ないかな、と思う。

で、米国の技術を使わずにファーウェイはやっていけるのか、という問題だが、いまだにネット上では、やっていけるという記事と、やっていけないという記事が錯綜している。これに関してはわしの結論をいうと、やっていけるはずがない、ということになる。

これに関しては、ここにも少し書いたが、もう一度整理してみよう。

ファーウェイが「アメリカなしでもやっていける、準備はできている」と強気なのは、ハイシリコンという半導体設計子会社をもっているからである。ハイシリコンは世界有数の設計能力を持っている。kirinというスマホに使うプロセッサを設計しているが、クアルコムのプロセッサと同等もしくはそれ以上の実力を持つとされている。

だが、このプロセッサはアームのCPUコアを含んでおり、アームは今後、ファーウェイとの取引を中止すると発表した。したがって、ファーウェイは次の製品ではアームを使うことができなくなった。

それでファーウェイはスマホを作れなくなったという話ばかりがあちこちで強調されているが、問題はそこだけではない。この結果、5Gという次世代の通信システム自体が作れなくなってしまうのだ。

どういうことか。

5Gの電波は4Gよりも高周波になるために電波が遠くに届きにくくなる。そのため、数百メートルおきに基地局を作らないといけないと言われる。つまり基地局の数を大幅に増やさなくてはいけなくなる。単純に考えると、基地局が増えた分だけコストが増大する。

そこで考えられているのが、基地局スマホと同じシステムで作るという発想だ。

これまで基地局基地局、端末は端末と別のシステムだった。しかしスマホだって立派な通信機なのだから、スマホに使っているプロセッサなどをそのまま基地局の通信機にも使ってしまえばいい。

スマホは大量に作っているから、スマホのシステムを流用すれば安く作れる。つまり5Gの基地局とは、極論を言えば、スマホが大量に並んでいるようなものなのである。

これがコストを上げずに5Gの通信システムを作れる秘密のひとつだ。(ほかにもある)。もともと基地局を作っていたファーウェイが、スマホ製造にも乗り出したのは、たぶんこのためだ。

というわけで、スマホが作れないということは基地局も作れなくなってしまうのである。幸いいままで開発した分は使えるから、次のプロセッサをアームを使わないで大急ぎで開発できれば、なんとかなるかもしれない。(非常に難しいとは思うが)。

アームの問題ばかりではない。

そもそもハイシリコンは、どうやってプロセッサの設計をしているのか。

現代の半導体設計では、いちいち回路レベルで設計しているわけでは、もちろんない。設計者はどういう動作をするかということをソフトウェアみたいに書いてるだけだ。設計したシステムを実際の電子回路に置き換えているのは、コンピュータである。もっと言えば、コンピュータに載っている設計ツールである。単にCADともいう。

この設計ツールは世界中で同じものが使われていて、標準化されている。実際に半導体を製造してくれるTSMCのようなメーカは、この標準的な設計ツールの吐き出したデータをもらって作っている。だから標準的なデータ以外は受け付けてくれない。そしてこうした設計ツールは、もちろん、アメリカの会社の製品である。

そのうちのひとつ、シノプシスという会社は、ファーウェイとの取引を中止すると発表した。ファーウェイはシノプシスを使っていたらしい。もう1社ケイデンスという会社もある。こっちもたぶん使えない。

設計ツールなしに設計するのは無理なので、これでハイシリコンは設計自体ができなくなってしまった。たぶん今所有しているバージョンは使えるかもしれないが、バージョンアップや追加購入はできなくなる。(最新の設計ができなくなる)。

設計ツールをいちから作るという手もあるが、どのくらいの時間がかかるのか想像もつかない。作ったとしても、アメリカの特許を使わずに作れるはずがない。

それだけではない。

ハイシリコンが設計できるのは、デジタルのプロセッサだけだ。電波をとらえたり発信したりして、信号を処理するアナログの部分の設計はできない。

RFフロントエンドと呼ばれているが、ここは非常に特殊な技術になり、簡単に作ることができない。ファーウェイも未だに手が出せない領域だ。

RFフロントエンドを設計、製造できる会社は、日本とアメリカにしかない。アメリカの会社はもちろん輸出できないから、日本の会社が対応するかどうかにかかっている。

日本の会社は村田製作所とTDKの2社だ。ここにファーウェイの将来がかかっている。

村田製作所はファーウェイとの取引を続けるみたいだが、そんなことをすれば、アメリカ政府から嫌がらせを受ける可能性がある。その場合でも、取引を続けるかどうか。

村田製作所はチップコンデンサの供給もしているだろうから、仮に村田製作所が取引を停止すれば、ファーウェイはお手上げだ。RFフロントエンドを自前で開発すると、10年はかかるんじゃないか? 直感だけど。

村田製作所から見ると、ファーウェイがスマホを作れなくなっても、その分、他のメーカーが代わりに作るはずなので、何の問題もない。だから、ファーウェイとの取引にこだわる理由はない。が、なんとなく男気がありそうな会社の気がするのでw、ファーウェイを見捨てないような気がする。

まだある。

ファーウェイは今、いろいろな規格を標準化するコンソーシアムから次々排除されている。コンソーシアムに参加していれば、自分が開発した技術を標準規格としてねじ込むことができるが、それはできなくなった。他人が作った規格を使うということは、ロイヤルティを払うということである。するとコストがかかる。しかもこのままでは、ロイヤルティを払うといっても、使用を拒否されるかもしれない。そうなったら、どうしようもない。

そういうわけで、わしがちょっと考えただけでも、これだけの困難が思いつくくらいなので、実際はさらに大変だろう。

先端機器の場合、長大なサプライチェーンのどこが欠けても、製品が作れなくなってしまう。自前で全部それを用意できるはずがない。したがって、やっていけるはずがない、という結論にしかならないのである。

中国は「第2の長征」と称して、アメリカに対して一歩も引かないみたいだけど、そうやっているうちにファーウェイはだんだん死んでいってしまうのかもしれない。

でもファーウェイは苦難の中でも頑張るだろう。なにしろ、社員たち自身が株主という、中国の中では稀有な所有形態を持っている会社なのだ。彼らは自分の会社が叩き潰されるままにしておくはずがない。なにか生き残りの手を考え出すに違いない。

 

すべてのマンションは廃墟になる (イースト新書)

榊淳司 イースト・プレス 2019年2月10日
読書日:2019年5月28日


結婚後子供が生まれ、わしは妻にせがまれてマンションを買う羽目になった。

その時のことはここに書いた。

実はわしはマンションを資産として全く評価していない。同じお金を出すのなら戸建てのほうが絶対にいいと思っている。建物の価値はなくなっても最低土地の価値は残るから。

マンションこの本の題名のように、いつか必ず廃墟になる。それは物質である以上仕方のない定めである。ヨーロッパには何百年前の建物を改修して住むという話も聞いたことはあるが、それは全部石造りである。木造建築の日本ではそういう文化がない。神社でも何十年かおきに建て直すように、日本は建て替えの文化なのである。

とはいえ、すでにマンションを買った身としては、マンションの価値をなるべく保つように努力するしかない。管理組合にできるだけ積極的に関与するしかないだろう。

しかし、一方では、この本を読みながら、どきどきする興奮を覚えた。

鉄筋コンクリートのマンションが何10年、何100年持つか、誰もわからない。いま日本全土で実験中なのだという。この実験自体興味深いことである。どうなるんだろうか。個人的にはけっこう長く残るマンションがあるのではないかという気がする。

木造のアパートでも築40年以上の物件が売りに出ていたり、賃貸されている現状から想像するに、鉄筋コンクリートのマンションはそうとう長く使えるのではないかという気がする。

そして人口が減っているいま、たくさんの人の住まないマンションが誕生する。これらを有効活用するビジネスがきっと誕生するだろう。それがどんなものになるかは、いまははっきり分からないが、面白いことがいろいろ起こりそうな気がする。

アイディアが出され、関連法案が成立し、これまでと違った発想の土地活用が生まれるだろう。特に法律で、この本で提案されているような、管理組合の強制的法人化、所定期間の管理費滞納の場合の所有権の強制移転などの法律がどんどん成立するに違いない。制度が変わり、新しいビジネスが生まれるだろう。

手入れが悪いマンションは数10年で確実に廃墟化が進むという。そういうこともあるだろうが、復活するマンションや団地の話もどんどん増えてくるだろう。いろんなパターンの成功例が出てくると、きっと面白くなる。間違いないと思った。

この本の中で唯一出てくる企業は長谷工だ。長谷工のマンションは価値が保ちやすいという。なぜならば、マンションの設計が全部一緒で、いつも同じものを作るため業者に学習効果が働いて、施工の精度が高いのだという。

長谷工はすでに単なるマンション管理業務を越えて、マンションの生涯からサービスを行なって利益を得ようとしている。長谷工はもしかしたら、この業界では先進的な企業なのかもしれない。

個人的には、カチタスという企業に興味を持っている。いまはまだ中古戸建を中心に扱っているように見えるが、こういう企業がマンションにも取り組むと、従来と違った試みがなされるのではないか。

どうも不動産は面白い時代に入ったようだ。

★★★★☆

 


すべてのマンションは廃墟になる (イースト新書)

 

ほぼ日常生活キャッシュレス化完了!

 

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オーケーがPayPayに対応


わしは現金を持ち歩くのが嫌いで、でき得る限りクレジットカードなどで支払うようにしている。しかし、なかなか完全キャッシュレスとは行かない。

 

特にスーパー。いつも使っているスーパーはオーケーというところ。首都圏にしかないので他の地域の人にはなじみがないと思うが、激安で有名である。オーケー会員になるとさらに3%引いてくれる。しかしこれが悩みなのだ。支払いは現金のみが条件だから。クレジットカードでも払えるが、3%引きはなし。クレジットカードは店舗側にも手数料がかかるからだ。

 

なにしろオーケーでの買い物は毎日のことなので、3%値引きの影響は大きく、泣く泣く現金を払ってきた。そのために、月に何回かはATMで現金を降ろさなくてはならなかった。

 

しかしついに、フィンテックがこのオーケーにもやってきた。我が家の近所のオーケーにもPayPayが導入されたのだ。Paypayは、キャンペーン期間中で、店舗の手数料が2021年9月までは手数料が無料、したがってオーケーとしてもこれは現金と同じということで、3%引きもしてくれる。すばらしい。

 

PayPayがオーケーに導入されたころ、まだ10%還元のキャンペーンを実施していた。つまり、合計13%引き。さらにPayPayの支払いに、キャッシュカードを使うと、そのカードのポイントもついた。1%還元のカードなら、合計14%引きだった。

 

あまりのすごさに、PayPayを使った次の日に会社で興奮して話していたら、「オフィスグリコもPaypayで支払えますよ」とのこと。

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オフィスグリコもPayPayに対応


オフィスグリコとは、事務所にお菓子などの軽食を置いて、100円で買えるというサービスです。横に貯金箱が置いてあって、そこにちゃりんと100円を入れることになっている。この貯金箱、お金は盗もうと思えば盗めるようなちゃちな代物だが、そこは相互監視機能の働く日本社会なので、そんなことをする人はいないからうまくいってるのだ。

 

便利なサービスだが、小銭がないときには買えないのが難点だった。まあ、500円玉ぐらいだったら、貯金箱を勝手に開けて、なかから400円お釣りを取るということはやってましたが、だけどお釣りがないほど高額紙幣しか持っていなかったら、購入は無理。それでお菓子の購入を断念したことはこれまでも確かにあった。

 

そういうわけで、PayPayで払えるのなら、便利。さっそく残業になっちゃった日に使ってみた。もちろんすぐに支払いは終わった。しかも10円のキャッシュバックもあった。便利。

 

もう10%還元は終わってしまったけど、0.5%の通常のポイント還元はあるから、クレジットカードで1%と合わせて1.5%は少なくとも還元されて、オーケー会員の3%引きで合計4.5%還元。続けない手はない。ぜひ2021年9月以降も、Paypayの手数料無料が続いてほしい。

 

このまえ、財布の中を見てみたら千円札が1枚入っているだけであった。そして、その状態で1週間以上も暮らしていたことに気が付いた。つまり日常生活でほぼキャッシュが駆逐されたわけだ。

 

わしの生活圏であと現金払いが残っているのは、もうサイゼリアと毎月1回行く病院ぐらいかな。サイゼリアは数ヵ月に1回行くか行かないかだから、まあ、無視してもいいです。

 

ともあれ、わしのキャッシュレスは2021年9月までは達成できそうです。すべてのキャッシュが駆逐されますように。

 

p.s.

5/26のTBS「がっちりマンデー」のテーマは、オーケーだった。オーケー、上場しないのかしら。なんか自己資金で何とかなってるみたいだから、上場はしないんでしょうね。

 

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