ヘタレ投資家ヘタレイヤンの読書録

個人投資家目線の読書録

朝鮮半島201Z年

鈴置 高史 日本経済新聞出版社 2010年11月30日
読書日:2012年11月26日

韓国が中国の属国化するという内容。韓国は中国の支配下に入るのにあまり抵抗感はないという。なにしろ中国の半島支配の歴史は長ーいので。2年前にかかれたのに、現実はこの小説の筋書きで進んでいるように見えてしまう。

この小説に出てくる韓国メディアはそうとうお馬鹿な言論を展開していて、本当にこれくらいレベルが低いのかどうかが知りたいなあ。まあ、韓国のメディアの日本語サイトを見る限り、こんなものかもしれませんが。きっと日本のメディアも外国から見るとずいぶんけったいに見えるのでしょうなあ。質も高くないし。

ともあれ韓国には対中国でもっとがんばってもらいたいものです。無理か?

(2019年1月追記)

これを読んだ2012年ごろは、こんなのんきな感想を書いていましたが、2019年のいまは、まったく笑えません。先月(2018年12月)起きたレーダー照射事件を見る限り、韓国は米韓同盟を離れて、北と融合する気満々に見えます。そして、中国の支配下になるのでしょう。鈴置氏の最新刊、「米韓同盟消滅」を読まなければと強く思いました。(まだ読んでません)

 


朝鮮半島201Z年


米韓同盟消滅(新潮新書)

完全版 無税入門

只野範男 飛鳥新社 2018年10月25日
読書日:2019年1月6日


なんとなく目について読んだ本。

著者は、2009年に所得税を40年間払っていなかったことを本にまとめて、ベストセラーになったという。

今回は、世間で副業が認められるようになったことで、著者の手法がさらにやりやすくなったと、再登場したらしい。

手法は、本業のサラリーマンの他に副業をして、副業を赤字にすれば、確定申告で還付金があるというもの。いや、とってもシンプルです。

ただし、赤字にしたいわけではなくて、本当は黒字にして、そっちをメインにしたかったのだけど、芽が出なくて、結局毎年赤字だったというだけなんですが。

ちなみに副業はイラストレータで、毎年50万~100万ぐらい稼いでいたそうです。なのに赤字だったのは、自宅が職場だったため、家賃や自動車にかかるお金の何割かを経費に計上していたため。経費になるもの全てレシートをきっちり保存して、赤字にしていたそうです。

ともかく、まずはいくらか稼げる副業を手掛けないといけない手法ですので、副業をやったことのない人には、なかなかハードルが高いかも。

 ★★★☆☆


完全版 無税入門

Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]

のんくら(早川 修), a-ki, 石田 健介, 染谷 昌利 日本実業出版社 2018年11月20日
読書日:2018年12月26日


まあ、ブログの収益化に当然、興味ありますので、こういう本も読んでみました。

内容的には、納得できることが書いてあります。でも、普通かな。そんなにすごいことを書いてあるわけではないです。

書評ブログは基本的にほとんど儲からないみたいですね。なんかがっかり(笑)。

でもアフェリエイトやアドセンスで儲かっている人の話を聞くと、グーグルさんの気まぐれで、ある日、突然収益が上がらなくなる人が多いのにびっくりです。

この本ではその対策に複数のサイトを立ち上げて、リスクを減らすみたいな、まともなことも書いてありますけど、それはそうなんですけど、なんかそれ以前のケースが多いように思います。

月に数百万も収入が入るようになって、仕事も辞めて、独立して自由を手に入れたと思ったら、ひとりで部屋にこもってサイト運営をしていくうちに、酒におぼれてしまう人が多いようなんですね。

これじゃあ、グーグルがどうのこうのいう以前の問題ですが、この本にはメンタル面のこともきちんと書いてあります。一喜一憂せずに、淡々と続ける。

なんか自由という感じがしませんね(笑)。そういうひとなら、会社員をぜんぜん普通に続けられるんじゃないですか。

でもこの本を読んでいるうちにいいアイディアをひとつ思いつきました。サンキュー。

★★★☆☆


Google AdSense マネタイズの教科書[完全版]

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

佐藤 航陽 幻冬舎 2017年11月30日
読書日:2018年12月23日


仮想通貨関係のIT企業の若き創業者が書いた本ということで、てっきり自分の事業の宣伝なのかと思っていました。なので、読むのを遠慮していた。でも、読んでみたら、お金に関してとてもまじめに考えた本でした。大変失礼いたしました。

はじめにお金の正体についてまとめているけど、これがいい。基本的に事業をしながら考えたことをもとにしているんだけど、きちんと過去の文献にも当たっている。ゲゼルの価値が減っていく通貨の話とか、ほとんどの人が知らないようなことも良く知っている。たくさんの文献に目を通しているようだ。

しかもいちいち非常に分かりやすい。感心する。

もちろん、最近のビットコイン等の仮想通貨については詳しくて、本人はこの仕組みを思いついた人に嫉妬すら覚えたという。

わしが一番感心したのは、グーグルやアマゾンなんかは、本当はもっとお金を稼ごうと思えばお金を稼げるほどの潜在的価値を持っているのだが、自分たちに必要な分だけを稼ぐように、マネタイズを抑えているという指摘だ。確かにそうだ。

そしてグーグルと同じように、個人が自分の価値をお金に換える手段もどんどん増えているという。現代では、ベーシックインカムに向かっているけど、すでにかなりベーシックインカム的な世の中になってきている。気分はもうベーシックインカム的な?

そしてそのお金は、もちろん、円やドルのような法定通貨(ハードカレンシー)である要はなく、仮想通貨でもいいし、何らかのポイントかもしれず、重層化した存在になる。

企業、企業を興す起業、就職、仕事という概念が急速に変わっていくこのタイミングで、ちょうど出版されたこの本。今後は国家2.0、リアリティ2.0が順次発表されるようだ。

楽しみ~。メタップスは買いかしら?

★★★★★

 


お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

新井 紀子 東洋経済新報社 2018年2月2日
読書日:2018年12月22日


東大合格を目指す東ロボくんロジェクトを率いた数学者、新井紀子が東ロボくんを開発して得たAIの知見とAIが普及したときに人間に求められる能力について述べた本。

題名から想像されるように、人間がAI時代に生き残れるのか、という危機感をあおる内容なのかと思いきや、最初にさんざん語られるのはAIの限界について。

テストを受けるといっても、AIは問題の中身を理解して解答しているわけではないと言う。

AIにはフレーム問題という固有の問題があり、ある枠を決めてその中で最適化しているにすぎず、受験問題のような柔軟で非常に幅広い内容については、フレームの設定などはしようがなく、AIはまったく対応できないという。そこで各学科ごとに、力わざを駆使して、無理やり解くようなプログラムを開発していったのだそうだ。

こうした経験から、新井さんは、AIがいつか人間の知性を越えるというシンギュラリティについてはまったく懐疑的で、少なくとも当面はあり得ない、という立場である。

わし的には、ディープラーニングを使った現状の人工知性では、それは無理だろうと思う。が、まだ新しい原理の開発、あるいはディープラーニングのメタ化で、カーツワイルが設定した2045年までにシンギュラリティを達成できる気もする。

それでは、人間はAIに侵略されないのかというとそういうわけではなくて、フレームを設定できる問題に関しては圧倒的にAIの方が優秀であり、しかも現在の人間のほとんどがそういう仕事に従事しているため、やはり影響を受ける。

したがって、AIには不可能な領域、つまりフレームの枠を超えるような発想が必要な仕事をしなければならないという。新井さんのイメージでは、どうもそれは限りなく起業的な仕事になっていくようだ。それは例えば、他人の不便を解消してあげたり、困ったことを見つけられることが必要だという。女性のように他人に共感できる方が有利ではないかという。

ここで、重要になってくると主張するのは、意味を考える力(読解力)だと新井さんは思っているようだ。そうした中で、きちんと教科書に書かれていることを書かれてある通りに読めないようなレベルの人は困難に直面すると考えているらしい。それは人の中の80%にも相当する。

だが、わしは新井氏の懸念には賛成しかねる。

話は逆ではないだろうか?

わしは人間とAIの区別は「~したい」という欲望で十分であると思う。AIはそのような欲望を持たないからだ。自分の欲望に従って何かをする。それだけで、非常に価値がある。たとえばキャンプに行った映像を動画配信するだけでも、0.1%の人が関心を持てば、大変な価値を生む。

また「~したい」には、かならずお仕着せでは満足できないところができるから、本人なりの工夫が入りから、その小さな工夫は、ほとんどの人には役に立たなくても1000人の人には役に立つかもしれない。だとすれば、それは大きな価値だ。

他人の不便や困ったことに共感できなくてもいいのだ。自分の「~したい」に忠実にするだけでも、価値が生じる。

ここに教科書を正しく読めるとか、最小限の論理思考とかは関係ない。もともと人間はその程度のいい加減な存在なのだ。それでもいいと言ってくれるのが、次のAI時代だ。そうであってほしい。

★★★★☆

 


AI vs. 教科書が読めない子どもたち

ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望

トーマス・ラッポルト 飛鳥新社 2018年4月25日
読書日:2018年12月17日

ティールの母国ドイツの出版社が発行した、評伝。

「ゼロ・トゥ・ワン」を読んだ時には、ペイパルマフィアのボスということは知ってたけど、それ以外のそもそもどういう来歴の人か分からなかったので、その辺が分かってよかった。

その発想には、ゲイでリバタリアンのティールの思想そのものが表れていたわけだ。ペイパルを作ったのは、自由な通貨を作りたかったから、パランティアを作ったのは、自由主義国家をテロから守るため。なるほど、だから何もない0から1を作れと言ってたんだ。

もともとの発想がそんなに根源的なものだとしたら、実際にできたペイパルは、たぶんティールの理想とは程遠いものだったんじゃないか? メールで送金できるのは便利だとしても、国家からの自由には程遠い。

もっと本質的な革命を起こしたいから、生命科学や宇宙ビジネスに投資をしているんだろう。もはや成功した起業家のお約束だ。

前にも思ったことだが、この人確かに0から1を作ったのかもしれないけど、すぐに模倣されて独占できなくなる危機に見舞われて、それで合併で独占を果たしたわけで、これってどうなの、って思う。そんなに偉大な1だったのかしら。

「空飛ぶ自動車が欲しかったのに、手に入れたのは140文字」

この表現にすべてがあらわされている。

誰もがやったことがなくて、成功すれば独占できる市場を狙って、成功はできたとしても、満足には程遠そうだ。

でもどうすればいいのだろうか。宇宙に投資をして加速すれば、いつか人類は他の太陽系にたどり着けるのだろうか。たどり着けるのは人間ではなく、機械だけかもね。

なかなかもどかしくてじれったいね。


ピーター・ティール 世界を手にした「反逆の起業家」の野望

異形の超大国、中国をなんとしても理解しなくては---中国を理解するためにヘタレイヤンが読んだ本

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中国は、考慮するにも無視するにも大きすぎる国。

だが、なんとか片りんだけでも理解しないと、今後世界がどうなっていくか、想像することも不可能です。こういう場合、ネットが中心になった今でも、読書が手っ取り早いのは真実だと思う。とはいえ、そこはただのサラリーマン投資家に過ぎないので、読書の冊数自体が限られており、その限られたなかの何冊かを中国関連に振り向けることぐらいしかできないのですが。

その結果、読まないよりも確かに読んだ方が、今後の展開が想像できるようにはなってきました。やっただけのことはあると実感しました。

中国を理解するにはいくつかの視点から眺める必要があります。

 

(1)歴史的な視点

・貝と羊の中国人 

 細かい歴史の話はいいから、中国の歴史の展開するパターンを知っておく必要があります。中国は非常に豊かな土地ですが、それゆえに平和が続くと人口が増えすぎます。すると世の中がうまくいかず、乱れて戦乱になります。すると人口が減って、時には半分ぐらいに減って、それでようやく国が治まり、新しい王朝が始まるのだそうです。こういったパターンを繰り返してきたわけです。(なぜ一人っ子政策を中国共産党が進めたかよく理解できます)。このような変革の時に、中国人が持ち出すのが天の概念で、天命が誰のもとに訪れるのかは分からず、血統や身分の上下といったことはあまり重要になりません。したがって、身分の低いものが次の皇帝になっても良いのです。つまり立ち上がるのは民衆であり、民衆が立ち上がった時が、王朝の最大の危機となります。中国共産党が倒れるときは、中国民衆が立ち上がる時になるのは確かで、中国共産党はそれをもっとも恐れているでしょう。

毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)

 では、今の中国共産党の統治は、過去の中国王朝と比べてどうなのでしょうか。それが見事に、過去のパターンに当てはまりそうなのです。毛沢東の愛読書は「資治通鑑」でした。これは最も詳しい中国歴史書と言えるもので、つまり毛沢東は、共産主義とかそういう理念で思考していたのではなくて、歴史的な視点から戦略を練っていたのです。資治通鑑には自分の保身ために、民衆を虐殺する話が大量に出てきます。これを教科書に政治を行うのだから、共産党は自らの存続のためには、何千万人を殺戮しても、躊躇することはないでしょう。

本当に残酷な中国史大著「資治通鑑」を読み解く

 毛沢東が愛読した資治通鑑の解説書。

 

(2)地政学の視点

 地理と軍事戦略が結びついた地政学だが、中国を地政学的にとらえるとどうなるのでしょうか。

100年予測 

戦略専門の民間会社ストラトフォーは地政学的に世界情勢の情報を売るのが仕事です。ストラトフォーの創立者が書いたこの本では、100年単位の世界覇権の展開の予測を行っています。中国も当然視野に入っており、地政学的に中国がどんな特徴があるのか理解できます。米国と中国を地政学的な見地から比較すれば、圧倒的に米国が有利になります。米国は大陸を東から西まで覆っており、北と南は友好国であり、超安定な構成になっています。(東と西に分裂していれば、非常に不安定になるが、それは回避された)。おそらくは今後200年の間、地政学的になんの問題もないでしょう。一方、中国は、沿岸部と内陸部で分裂しやすい地形になっています。また、中国は歴史的に外に出た経験がないということもあり、対外協力はあまり上手とは言えないようです。さらに、歴史的には北からの遊牧民の侵入にも悩まされています。(なので、首都は北の守りのかなめ、北京にあります)。なお、この本は中国に視点を合わせたものではなくて、なんと日本がまた戦争をおこすと主張する内容になっており、ちょっとびっくりな本です。

自滅する中国

 多国間の取りまとめが苦手な中国は孤立し、中国を警戒する同盟が進み、中国は覇権を取れないと主張しています。対中国の同盟が進みそうであることは、現時点(2018年12月)では的中していると思います。

 

(3)軍事的な視点

米中もし戦わば 

 もうこの本でとどめを刺すんじゃないでしょうか。戦争になるとアメリカもなかなか厳しくて、潜水艦の優劣で決まりそうという内容。ただし、米軍基地のある日本は猛攻撃を受けること必至です。

 

(4)経済的な視点

チャイナ・エコノミー: 複雑で不透明な超大国 その見取り図と地政学へのインパクト

 中国経済が崩壊するとか不動産がバブルであるとか、統計も信頼できず、疑心暗鬼になってしまう中国経済ですが、非常にバランスの取れた視点から中国経済の現状を教えてくれる本。これを読む限り、中国経済崩壊論はあり得ません。米国がいくら経済制裁しても崩壊はないと思います。もっとも、覇権が遠くなることはありえるでしょうが。

 

(5)民衆の視点

 中国共産党は人権無視の過酷な統治という意味で、ひどい政権だと思いますが、中国の一般民衆は、為政者とは全く異なります。理不尽で強権的な政権に慣れていますので、自分たちで助け合って生きています。政府を頼りにしない生き方というのは、ある意味ですがすがしく、見習いたいところ満載です。

スッキリ中国論 スジの日本、量の中国

 たぶんいまもっとも中国人の発想を紹介してくれる本。とくにメンツ関する説明は素晴らしい。

失敗のしようがない 華僑の起業ノート

 華僑なので、本国と違って、「継続する」、「目立たないようにする」、という違いはありますが、そのほかはおおむね一緒なんじゃないかな。

3億人の中国農民工 食いつめものブルース

 発展から取り残されているひとたちもたくさんいる。

 

(6)図解

これまでの内容がすべて載っていて、分かりやすく図解してあるのが、これ。

図解でわかる 14歳から知っておきたい中国

ほかにもいろいろありますが、2010年以前よりは、中国の本は多様性に富んできて、手に入れやすくまりました。

この中国の読書リストは、重要な本を読んだ後は随時内容を更新の予定です。

 

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